健康診断で脾腫を指摘されたら?痛みがない場合の受診目安と精密検査でわかること

痛みがない場合の受診目安

脾腫自体が痛みを伴わない場合でも、背景にある病気は進行している可能性があります。以下の目安に従って、速やかに専門医を受診してください。

  • 即時受診(数日以内):健康診断の結果で白血球、赤血球、血小板のいずれかに異常(異常な増減)が見られる場合。脾臓が腫大していることに加え、血液細胞の産生・破壊に異常があるサインであり、白血病や骨髄線維症などの血液疾患が疑われます。
  • 早期受診(1〜2週間以内):脾腫のみが指摘され、以下の全身症状(B症状)を伴う場合。悪性リンパ腫などの悪性疾患の可能性を示します。
    • 不明熱: 原因不明の38℃以上の発熱が続く。
    • 体重減少: 6ヶ月以内に意図せず体重が10%以上減少した。
    • 寝汗: 夜間に下着や寝具が濡れるほどの大量の寝汗。
  • 速やかな受診(できるだけ早く):特に症状がなくても、肝機能検査(AST, ALT, ALP, γ-GTPなど)に異常が見られる場合。これは肝硬変などの肝臓病による門脈圧亢進症(脾臓に血液がたまる原因)が疑われます。

受診すべき診療科は、血液内科、消化器内科、または総合内科です。

精密検査でわかること

健康診断で脾腫が指摘された後に医療機関で行われる精密検査は、主に脾臓の状態を確認する画像検査と、原因疾患を特定するための血液検査が中心となります。

1. 画像検査(脾臓の大きさ・性状の確認)

検査の種類 わかること
腹部超音波検査(エコー) 脾臓の大きさ、内部の血流の状態、嚢胞(のうほう)や腫瘍などの有無を確認します。最も簡便で初期に行われます。
腹部CT検査 脾臓の正確な大きさ、周辺臓器(特に肝臓、リンパ節)との関連、腫大の原因となる異常な組織の有無を高精度で評価します。

2. 血液検査(原因疾患の特定)

  • 血球算定:白血球、赤血球、血小板の数を詳しく調べます。脾機能が亢進している場合(脾機能亢進症)、これらの血球が過剰に破壊され、異常な低値を示すことがあります。
  • 肝機能・腎機能検査:肝硬変や慢性肝炎などの肝臓病が原因でないかを調べます。
  • 感染症・抗体検査:EBウイルスなどの感染症や、膠原病などの自己免疫疾患が原因でないかを調べます。
  • 腫瘍マーカー・血液細胞の異常:白血病や悪性リンパ腫など、血液のがんを疑う場合に、さらに専門的な血液検査(血清蛋白電気泳動、骨髄検査など)が行われます。

これらの精密検査を通して、脾腫が単なる一時的な免疫反応によるものか、あるいは早期治療が必要な悪性疾患や慢性疾患によるものかを特定することができます。