先天性耳瘻孔

生まれつき耳の付け根に小さな穴がある――それは「先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)」と呼ばれる状態かもしれません。見た目に目立たないため放置されがちですが、場合によっては感染や再発を引き起こすことも。この記事では、先天性耳瘻孔の原因・症状・治療法・手術・再発防止策まで、医療情報に基づいて詳しく解説します。

先天性耳瘻孔とは?

先天性耳瘻孔とは、耳の前方や周辺に見られる小さな穴(瘻孔)のことを指します。胎児の耳が形成される過程で皮膚や軟部組織が正しく癒合しないことが原因とされています。

  • 発生率:日本人の約0.3〜1%に見られる
  • 左右どちらか、または両耳にできることもある
  • 基本的には良性

特に心配がなければ経過観察となりますが、感染を起こすと治療が必要です。

原因と発生メカニズム

胎児期の耳介形成の途中で何らかの異常が生じることで発症します。以下に原因の一例を示します。

要因 内容
胎生期の癒合不全 耳の成り立ちに関わる組織が正しく癒合しない
遺伝的要素 家族に同様の症例がある場合も
その他 特定症候群(例:BOR症候群)の一部として現れることも

多くは偶発的に現れ、特定の生活習慣や環境が直接の原因になることはほとんどありません。

主な症状とトラブル

通常は無症状であるため、親が気づかないまま成人するケースもありますが、次のような症状が出ることもあります。

  • 耳の穴から分泌物が出る
  • 悪臭や膿がたまる
  • 何度も同じ場所が腫れて痛む
  • 発熱やリンパ節の腫れ

感染した場合は抗生剤の投与や切開排膿が必要となり、再発リスクもあります。

治療法と手術について

治療法は以下の2通りに分かれます。

1. 保存的治療

  • 症状がない場合はそのまま経過観察
  • 軽度の感染なら抗生剤や洗浄で対応

2. 外科的手術(瘻孔摘出術)

再発を繰り返す、または炎症が慢性化した場合は、瘻孔の摘出手術が推奨されます。

手術名 概要
瘻孔摘出術 瘻孔のすべてをくり抜くことで再発を予防
全身麻酔または局所麻酔 年齢や状態により使い分ける
入院期間 日帰り〜2泊3日程度

術後は再発防止のため、瘻孔の周囲までしっかり切除する必要があります。

再発を防ぐためには?

一度感染を起こすと再発を繰り返しやすいため、次のような予防策を意識しましょう。

  • 不潔な状態を避ける(触らない・清潔を保つ)
  • 早期に医師に相談し、抗生剤で治療
  • 慢性的なトラブルがあるなら手術を検討

よくある質問(Q&A)

Q1. 耳瘻孔を放置するとどうなりますか?
A. 多くの場合は無症状ですが、感染を起こすと腫れや膿、痛みが発生します。再発することもあるため、症状が出たら早めに医療機関を受診しましょう。

Q2. 大人でも手術は可能ですか?
A. はい、可能です。局所麻酔で日帰り手術が行われることもあります。

Q3. 子どもの場合、何歳から手術可能ですか?
A. 一般的には3歳以降が目安です。全身麻酔に耐えられるかが判断基準となります。

Q4. 保険は適用されますか?
A. 医師の診断に基づく治療や手術は保険適用されることが多いです。

まとめ:気になる場合は早めの受診を

先天性耳瘻孔は生まれつきあるものですが、感染や炎症が起きたときには適切な治療が求められます。見た目には小さな穴でも、内部は意外と深く入り組んでいることもあるため、繰り返し症状が出るようなら耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

✔ まとめポイント

  • 耳の小さな穴=先天性耳瘻孔の可能性あり
  • 無症状なら経過観察でOK
  • 炎症・感染を繰り返すなら手術検討
  • 放置せず、早めの診察が大切

あなたやお子様の健康を守るために、少しでも気になる症状があれば医師に相談してみましょう。

タイトルとURLをコピーしました