前庭神経炎とは、内耳にある「前庭神経」に炎症が起きて、平衡感覚が狂い、めまいやふらつきを引き起こす病気です。突然起こることが多く、多くの人が強い不安を感じることが特徴です。
前庭神経は、私たちの体のバランスを保つために必要不可欠な神経であり、耳の奥にある内耳と脳をつないでいます。この神経に何らかの炎症が起きると、姿勢の維持が困難になったり、強い回転性のめまいが出たりします。
前庭神経炎の主な症状
前庭神経炎は、突然発症するのが特徴で、以下のような症状が現れます。
症状 | 詳細 |
---|---|
激しいめまい | 回転するような感覚。数時間から数日続く。 |
吐き気・嘔吐 | めまいに伴い、胃のムカつきや嘔吐が生じることがある。 |
平衡感覚の異常 | まっすぐ歩けない、立ち上がるのが困難になる。 |
耳鳴り・難聴は基本的にない | 前庭神経炎は聴覚に影響しないため、これらの症状があれば他の疾患の可能性がある。 |
症状は通常数日〜1週間程度で軽快しますが、バランスの取りにくさはしばらく残ることがあります。
原因とリスクファクター
前庭神経炎のはっきりとした原因はわかっていませんが、ウイルス感染(特に風邪やインフルエンザ後)が関与していると考えられています。
その他のリスク要因には以下が挙げられます。
- 免疫力の低下
- ストレスの多い生活
- 過労や睡眠不足
- ヘルペスウイルスの再活性化
特に40代〜60代に多くみられる病気です。
診断と検査方法
前庭神経炎の診断は、以下のような検査により行われます。
検査名 | 目的・内容 |
---|---|
眼振検査 | 眼球の動きに異常がないかを確認 |
平衡機能検査 | 立ったり歩いたりして、バランスのとり方を確認 |
MRI検査 | 脳の異常(脳卒中など)との鑑別のため |
自己判断は危険ですので、症状がある場合は耳鼻科または神経内科を受診してください。
治療法と回復までの経過
前庭神経炎の治療は、対症療法が中心です。以下のような治療が行われます。
- 抗めまい薬(セファドール、メクリジンなど)
- 吐き気止め(プリンペランなど)
- ステロイド薬(炎症が強い場合)
また、回復期にはリハビリとして「前庭リハビリテーション」が重要です。これは、簡単な頭や眼の運動を日々行うことで、バランス感覚の回復を促すものです。
よくある質問(Q&A)
- Q1. 前庭神経炎はうつる病気ですか?
- A. いいえ、前庭神経炎そのものは感染症ではありません。ただし、きっかけとなったウイルスが感染することはあります。
- Q2. 再発することはありますか?
- A. 一般的には再発は稀ですが、過労やストレスが引き金となることがあります。
- Q3. 自分でできる対処法はありますか?
- A. めまいがひどい時は安静にし、水分補給をしっかり行いましょう。回復期には軽い体操でリハビリを進めることが推奨されます。
- Q4. 他の病気との違いは?
- A. メニエール病は難聴や耳鳴りが伴います。前庭神経炎はめまいのみで、聴覚症状がないのが大きな違いです。
まとめ:前庭神経炎は早期対応で快方へ
前庭神経炎は、突然のめまいで非常に不安になる病気ですが、正しい診断と治療で多くの場合は数日〜数週間で回復します。
- 突然の回転性めまいが特徴
- 原因はウイルス感染が有力
- 治療は対症療法とリハビリが中心
- 再発防止には生活習慣の改善が重要
気になる症状がある場合は、早めに医師の診察を受けましょう。適切な対応が、回復を早める第一歩です。