近年、高齢者を中心に増加している圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)は、背骨の骨が潰れてしまうことで様々な痛みや生活の質の低下を引き起こします。この記事では、圧迫骨折の原因から症状、検査方法、治療法、そして予防法までを分かりやすく解説。さらに、よくある疑問に答えるQ&Aも掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
圧迫骨折・脊椎圧迫骨折とは?基礎知識の整理
圧迫骨折とは、脊椎(背骨)の椎体が潰れて変形してしまう骨折のことです。特に高齢者の骨粗しょう症が原因で起こりやすく、骨密度の低下により骨がもろくなった結果、日常生活のちょっとした動作や転倒で骨折してしまいます。
用語 | 説明 |
---|---|
圧迫骨折 | 脊椎の椎体が潰れ、背骨がつぶれる骨折のこと。 |
椎体 | 背骨を形成する骨の一つひとつの塊。 |
脊椎 | 背骨の総称。首から腰まで約33個の椎骨が連なっている。 |
骨粗しょう症 | 骨の密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気。 |
圧迫骨折の主な原因とリスクファクター
圧迫骨折が起こる主な原因とリスクは以下の通りです。
- 骨粗しょう症:特に高齢女性に多く、骨がもろくなることで圧迫骨折が起こりやすくなる。
- 外傷:転倒や交通事故、スポーツ中の激しい衝撃など。
- 悪性腫瘍の転移:がんが骨に転移して骨が弱くなる場合。
- 過度な負荷:重い物を持つ、長時間の姿勢保持など。
原因 | 詳細 | 主な対象者 |
---|---|---|
骨粗しょう症 | 骨密度の低下による骨のもろさ | 高齢者、特に閉経後の女性 |
外傷 | 転倒、交通事故、スポーツ事故などの強い衝撃 | 全年齢層 |
悪性腫瘍転移 | がん細胞が骨に転移し骨を弱らせる | がん患者 |
過度な負荷 | 繰り返しの重い負担や長時間の姿勢保持 | 労働者、スポーツ選手など |
圧迫骨折の症状と診断方法
圧迫骨折の代表的な症状は以下の通りです。
- 背中や腰の激しい痛み:突然の痛みや徐々に強くなる痛み。
- 動作時の痛みの増強:立ち上がったり歩いたりする際の痛み。
- 姿勢の変化:背中が曲がり猫背や身長の縮小が起こる。
- 神経症状:稀に足のしびれや麻痺が出ることも。
診断には以下の検査が用いられます。
検査名 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
X線検査 | 背骨の骨の形や骨折の有無を確認 | 骨折の特定、形態の把握 |
CT検査 | 骨の詳細な断面像を撮影 | 骨折の詳細評価、骨の崩れの程度把握 |
MRI検査 | 骨や周囲の軟部組織の状態を映像化 | 骨髄の異常や神経の圧迫の有無を評価 |
骨密度検査 | 骨の密度を測定 | 骨粗しょう症の診断 |
圧迫骨折の治療法とリハビリテーション
圧迫骨折の治療は基本的に保存療法が中心ですが、場合によっては手術が検討されます。
保存療法
- 安静と痛みのコントロール:初期は激しい動作を避け、鎮痛薬を使用。
- 装具療法:コルセットを装着し背骨の安定化を図る。
- 理学療法・リハビリ:痛みが落ち着いたら筋力強化や姿勢改善の運動療法を開始。
- 骨粗しょう症治療:骨の強化を目的にビタミンDやカルシウム、骨吸収抑制薬を使用。
手術療法
痛みが強い、神経症状が出る、背骨の変形が激しい場合は以下の手術を検討します。
- 椎体形成術(バルーン・キーブロスティ)
- 固定術(スクリューなどで背骨を安定させる)
圧迫骨折の予防法と日常生活でできる対策
圧迫骨折を防ぐためには、骨の健康を保ち、転倒を防ぐことが重要です。
対策 | 具体例 |
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骨密度の維持 | カルシウム・ビタミンDの摂取、適度な運動(ウォーキングや筋トレ) |
転倒防止 | 家の中の段差除去、滑り止めマット設置、靴選びに注意 |
姿勢の改善 | 正しい姿勢での座り方、長時間の同一姿勢を避ける |
定期的な検査 | 骨密度検査を定期的に受け、異常があれば早期対処 |
よくある質問(Q&A)
Q1. 圧迫骨折はどれくらいで治りますか?
A. 保存療法の場合、痛みの軽減には通常数週間から数か月かかります。骨の完全な治癒には半年以上かかることもありますが、リハビリをしっかり行うことで早期回復が期待できます。
Q2. 手術は必ず必要ですか?
A. 多くの場合は保存療法で治療可能です。手術は痛みが非常に強い場合や神経症状が出ている場合、または背骨の変形が著しい場合に検討されます。
Q3. 骨粗しょう症以外の人でも圧迫骨折は起こりますか?
A. はい、外傷や事故によって健康な骨でも圧迫骨折が起こることがあります。しかし高齢者の骨粗しょう症が原因で起こることが最も多いです。
Q4. 予防のために運動は何が効果的ですか?
A. ウォーキングや軽い筋力トレーニング、バランス訓練などが骨密度を維持し、転倒防止にも効果的です。
Q5. 圧迫骨折後、再発のリスクはありますか?
A. 特に骨粗しょう症が改善されない場合、再発のリスクは高いです。継続的な骨密度管理と生活習慣の見直しが重要です。
まとめ
圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)は高齢者に多く見られ、骨粗しょう症が主な原因です。突然の背中や腰の痛みが現れた場合は早めの受診が重要。診断にはX線検査やMRI検査が用いられ、治療は主に保存療法が中心ですが、場合によっては手術も選択されます。日常生活では骨の健康維持と転倒防止を意識した生活習慣が予防の鍵です。正しい知識を持って適切に対処し、健康な生活を送りましょう。