「好酸球性副鼻腔炎」は、慢性副鼻腔炎の一種であり、近年注目されている疾患です。鼻づまりや鼻水だけでなく、重症化すると嗅覚障害や顔面痛などの症状を引き起こし、生活の質を大きく低下させることがあります。本記事では、好酸球性副鼻腔炎の基礎知識から症状、原因、診断・治療法、そして日常生活での注意点まで詳しく解説します。病気の理解を深め、適切な対応をとるための参考にしてください。
好酸球性副鼻腔炎とは?
好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔に好酸球という白血球の一種が異常に増加し炎症を起こす慢性副鼻腔炎の一形態です。特に鼻ポリープを伴いやすく、難治性のケースが多いのが特徴です。好酸球はアレルギー反応や寄生虫感染で増加する細胞で、過剰に反応すると副鼻腔の粘膜にダメージを与えます。
好酸球性副鼻腔炎の主な症状
症状 | 特徴・詳細 |
---|---|
鼻づまり | 持続的で重度の鼻閉感。鼻ポリープの増大により空気の通りが悪くなる。 |
鼻水 | 黄色や緑色の膿性鼻汁が多い場合もある。 |
嗅覚障害 | においが感じにくくなる、または全く感じなくなることも。 |
顔面痛・圧迫感 | 副鼻腔の炎症による鈍い痛みや圧迫感を感じる。 |
疲労感・頭重感 | 慢性の炎症が続くため、倦怠感や頭が重い感じがする。 |
好酸球性副鼻腔炎の原因と発症メカニズム
好酸球性副鼻腔炎は、アレルギーや免疫異常が関与すると考えられています。具体的には以下のような要因があります。
- アレルギー反応:花粉やハウスダストなどに対する過敏反応で好酸球が増加。
- 免疫系の異常:免疫のバランスが崩れ、好酸球が過剰に活性化される。
- 遺伝的要素:家族にアレルギー疾患や副鼻腔炎の既往があるとリスクが高まる。
- 慢性的な感染症:鼻腔や副鼻腔内の持続的な炎症が好酸球の増加を促す。
これらの要素が重なり、粘膜に好酸球が集積して炎症や組織の破壊を引き起こします。
診断方法と検査内容
好酸球性副鼻腔炎の診断は、以下のような検査を組み合わせて行われます。
検査名 | 目的・内容 |
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鼻内視鏡検査 | 鼻腔内や副鼻腔の状態を直接観察し、ポリープの有無を確認。 |
CT検査 | 副鼻腔の炎症範囲や骨の状態を詳細に確認。 |
血液検査 | 好酸球数やアレルギー反応を示すIgEの測定。 |
鼻汁検査 | 鼻汁中の好酸球数を調べ、炎症の程度を評価。 |
治療法と予防策
好酸球性副鼻腔炎の治療は、炎症を抑え症状を改善することが目的です。主な治療法は以下の通りです。
- 内服薬:ステロイド薬(経口や点鼻)、抗ヒスタミン薬、抗生物質などを用います。
- 手術療法:重症例や薬物療法が効果を示さない場合、内視鏡下副鼻腔手術でポリープや炎症組織を除去します。
- 免疫療法:アレルギーの原因物質に対する減感作療法が検討されることもあります。
日常生活では以下の予防策が効果的です。
- アレルゲンの回避(花粉やホコリの少ない環境づくり)
- 鼻腔の清潔を保つ(塩水での鼻うがいなど)
- 喫煙や刺激物の摂取を控える
- 定期的な医師のフォローアップを受ける
よくある質問(Q&A)
質問 | 回答 |
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好酸球性副鼻腔炎は完治しますか? | 完治は難しいこともありますが、適切な治療で症状をコントロールし、生活の質を維持することが可能です。 |
なぜステロイドが使われるのですか? | ステロイドは強力な抗炎症作用があり、好酸球の活動を抑えるため効果的です。 |
手術をしても再発しますか? | 再発するケースもありますが、手術後の適切な薬物療法や生活管理で再発リスクを減らせます。 |
子供にも好酸球性副鼻腔炎は起こりますか? | 成人に比べて少ないですが、アレルギー体質の子供でも発症することがあります。 |
自己判断で市販薬を使っても大丈夫ですか? | 症状が続く場合は自己判断は避け、必ず医師の診断を受けてください。 |
まとめ
好酸球性副鼻腔炎は慢性副鼻腔炎の中でも特に難治性で、鼻づまりや嗅覚障害を伴うことが多い疾患です。原因は主にアレルギーや免疫異常に関連し、適切な診断と治療が必要です。ステロイド治療や手術療法を中心に症状の改善を図り、生活習慣の改善や定期的な医療機関でのフォローも重要です。症状を放置せず、早めに専門医の診察を受けることが快適な日常生活を取り戻す鍵となります。