子供のマイコプラズマ肺炎:潜伏期間と登園(登校)許可の基準を医師が解説

1.マイコプラズマ肺炎の潜伏期間

マイコプラズマ肺炎の原因菌である「マイコプラズマ・ニューモニエ」は、潜伏期間が非常に長いのが特徴です。

  • 潜伏期間の目安:2〜3週間(1週間〜4週間と幅がある場合もあります)。

この潜伏期間の長さが、感染源の特定を難しくしています。感染したことに気づかないまま、周囲に広めてしまうリスクもあります。

2.登園・登校許可の基準と学校保健安全法の位置づけ

マイコプラズマ肺炎は、インフルエンザや水ぼうそうなどとは異なり、学校保健安全法に基づく「出席停止」の明確な定めがない感染症です(学校で流行した際は、状況に応じて学校長の判断で出席停止の措置が取られることもあります)。

そのため、治癒証明書のような形式的な書類は不要とされることが多く、医師の判断と、お子さまの全身状態に基づいて登園・登校の可否が決定されます。

3.登園・登校再開のための3つの目安(医師の判断基準)

マイコプラズマ肺炎の場合、集団生活への復帰は、感染力が低下し、かつ病状が回復に向かっていることが確認された時点となります。

① 治療開始と感染力低下の確認

マイコプラズマに有効な抗菌薬(マクロライド系、ニューキノロン系など)による治療開始から2〜3日以上が経過し、他者への感染力が十分低下していること。抗菌薬を飲み始めた後も、咳の症状自体は長引くことがありますが、感染力の低下は比較的早く訪れます。

② 解熱と全身状態の安定

  • 平熱に戻っていること(通常、解熱剤なしで熱が下がり、24時間以上経過していることが望ましい)。
  • 全身のだるさや食欲不振がなく、普段通りの生活を送れる程度に体調が回復していること。

③ 特徴的な咳の治まり

マイコプラズマ肺炎の特徴である激しい咳、または夜間にひどくなる咳が治まり、集団生活中に周囲に影響を与えたり、お子さま自身が疲弊したりするレベルではないこと。

保護者への注意点

最終的な判断は、治療にあたっている医師の指示に従ってください。

咳が長引いても抗菌薬が効いていれば感染力は低下していますが、体力は消耗している状態です。登園・登校を再開した後も、激しい運動は控え、安静に過ごす期間を設けることが、早期回復と再燃防止につながります。