悪性胸膜中皮腫

悪性胸膜中皮腫は、アスベスト(石綿)曝露が主な原因とされる希少な悪性腫瘍です。発見が遅れることが多く、治療が難しいことで知られています。本記事では、悪性胸膜中皮腫の原因、症状、診断、治療法、予後などについて詳しく解説し、Q&A形式での理解促進も図ります。

悪性胸膜中皮腫とは?

悪性胸膜中皮腫(Mesothelioma)は、肺を覆う胸膜に発生する悪性腫瘍です。主にアスベストの長期吸入により発症し、潜伏期間は20〜40年と非常に長いのが特徴です。以下はその基本的な概要です。

項目 内容
疾患名 悪性胸膜中皮腫(Malignant Pleural Mesothelioma)
発症部位 肺の胸膜
主な原因 アスベスト(石綿)曝露
潜伏期間 20〜40年
発症率 人口10万人あたり1人程度(希少がん)

原因とリスク要因

悪性胸膜中皮腫の主な原因は、アスベストへの長期間の曝露です。建築資材や断熱材などに使われていたアスベストを吸い込むことで、胸膜細胞に炎症が起こり、長い年月をかけてがん化する可能性があります。

  • 建築現場での作業経験
  • 造船所や工場勤務
  • アスベスト含有の断熱材取り扱い
  • 家族の間接的曝露(作業衣服を通じた曝露)

症状と初期兆候

悪性胸膜中皮腫は初期症状が乏しく、進行してから発見されることがほとんどです。次のような症状に注意が必要です。

  • 呼吸困難
  • 胸の痛み
  • 慢性的な咳
  • 体重減少
  • 発熱や倦怠感

これらの症状が見られる場合、医師による検査が推奨されます。

診断の流れ

悪性胸膜中皮腫の診断は、以下のような検査を通じて行われます。

  1. 画像診断:胸部X線、CTスキャン、MRIなど
  2. 胸腔鏡検査:胸膜に直接カメラを挿入し組織を採取
  3. 組織生検:細胞診や病理診断による確定診断
  4. 血液検査:腫瘍マーカーの測定(SMRPなど)

早期診断は非常に重要で、症状に気づいたら早めの検査をおすすめします。

治療法の選択肢

悪性胸膜中皮腫の治療は多角的で、進行度や患者の体力に応じて次の方法が選択されます。

治療法 内容
手術 胸膜切除や肺全摘手術など、がんの切除を目的とする
化学療法 シスプラチン+ペメトレキセドの併用が一般的
放射線治療 局所的な疼痛緩和や手術後の補助療法
免疫療法 ニボルマブなど、PD-1阻害薬の導入も進行中
緩和ケア QOL(生活の質)を重視した治療

予後と生存率

悪性胸膜中皮腫は進行が早く、予後が厳しいがんの一つです。平均余命は診断後1〜2年程度とされていますが、早期発見・早期治療により生存期間が延びるケースもあります。

  • 5年生存率:約5〜10%
  • 平均生存期間:12〜18か月
  • 新しい治療法による延命効果あり

Q&A:よくある質問

Q1:アスベストに触れたら必ず中皮腫になりますか?
A1:いいえ、アスベストに曝露しても必ず発症するわけではありませんが、リスクは確実に高まります。
Q2:悪性胸膜中皮腫は治る病気ですか?
A2:完全治癒は難しいことが多いですが、早期発見で延命が可能です。新しい治療法も期待されています。
Q3:アスベストを使っていた建物に住んでいました。検査は必要ですか?
A3:心配であれば、呼吸器科またはがん専門医に相談し、定期的な検査を受けることをおすすめします。

まとめ

悪性胸膜中皮腫は、アスベスト曝露が主な原因であり、長い潜伏期間を経て発症する難治性のがんです。初期には症状が乏しいため、予防と早期発見が鍵となります。もしアスベストに関わった経験がある場合は、早めの医療機関受診が重要です。また、最新の治療法も進化を続けており、今後の研究と技術革新に期待が寄せられています。

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