「気づいたら髪の毛を抜いていた…」「やめたいのに抜いてしまう…」
抜毛症(ばつもうしょう)は、無意識あるいは意図的に自分の毛を抜いてしまう衝動制御の障害です。この記事では、抜毛症の原因から症状、治療法までを詳しく解説し、悩んでいる方に少しでも役立つ情報を提供します。
抜毛症とは?
抜毛症は医学的には「トリコチロマニア(trichotillomania)」と呼ばれ、主に頭髪や眉毛、まつげなどを自分で繰り返し抜いてしまう精神的な疾患です。DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)にも分類されており、強迫性障害の一種とみなされます。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | トリコチロマニア(抜毛症) |
分類 | 強迫性障害スペクトラム |
主な症状 | 自分の毛を抜く衝動、繰り返す行為 |
対象年齢 | 小児期〜成人(特に10代女性に多い) |
抜毛症の主な原因
抜毛症の原因は一つではありません。複数の心理的・生理的要因が複雑に絡み合っています。
- ストレスや不安:学校や家庭、人間関係のストレスが引き金に。
- 退屈や習慣化:集中していない時に無意識に毛を抜く。
- 遺伝的要因:家族内に似た症状を持つ人がいることも。
- 脳内の神経伝達物質の異常:セロトニンやドーパミンの働きが関与している可能性。
抜毛症のチェックリスト
以下のチェックリストに複数該当する場合、抜毛症の可能性があります。
- 髪やまつげを抜いてしまい、その後に後悔する
- 毛を抜くことが日常生活に支障をきたしている
- 抜いた毛をじっと見つめる、食べるなどの行為がある
- 家族や友人に指摘されたことがある
- 隠すために帽子やウィッグを使っている
抜毛症の治療法・対処法
抜毛症は一人で抱え込まず、早期に専門的な対応をすることで改善が可能です。
1. 認知行動療法(CBT)
「習慣逆転法(HRT)」とも呼ばれ、毛を抜く行動の前兆に気づき、代替行動を取るように訓練します。
2. 薬物療法
抗うつ薬(SSRI)などが使用されることがあります。医師の判断のもと処方されます。
3. 家族のサポート
非難するのではなく、共感しながら本人の行動に理解を示すことが回復の鍵となります。
4. ストレスマネジメント
瞑想や運動、趣味の時間を取り入れることで衝動の頻度を減らせる可能性があります。
抜毛症の体験談・克服例
以下は実際に抜毛症を経験した方の体験談の一部です。
「中学生の頃から無意識に髪を抜いていて、鏡を見るのがつらかったです。でも、カウンセリングと家族のサポートで少しずつ改善し、今はほとんど抜かなくなりました。」(20代女性)
「仕事のストレスでまつげを抜くように…。ストレス発散方法を変えるだけでもかなり改善しました。」(30代男性)
よくある質問(Q&A)
- Q1:抜毛症は治る病気ですか?
- A1:個人差はありますが、適切な治療により改善・寛解が期待できます。
- Q2:小学生でも抜毛症になる?
- A2:はい。特に8~13歳の女児に多くみられます。
- Q3:精神科に行くのは不安です。
- A3:初診は不安かもしれませんが、専門家に相談することで早期改善につながります。
まとめ:一人で悩まず、まずは相談を
抜毛症は決して「意思が弱い」からではありません。ストレスや脳の働きが影響するれっきとした疾患です。心当たりのある方は、まずは信頼できる家族や医療機関に相談することから始めましょう。
「自分を責めず、少しずつ改善に向けて歩んでいく」——それが抜毛症克服の第一歩です。