溶連菌感染症(A群溶血性連鎖球菌咽頭炎)

溶連菌感染症、正式には「A群溶血性連鎖球菌咽頭炎」は、子どもから大人まで幅広く発症する喉の感染症です。風邪やインフルエンザと症状が似ているため見過ごされがちですが、適切な治療をしないと重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。この記事では、溶連菌感染症の原因、症状、診断方法、治療、予防法まで詳しく解説し、Q&Aコーナーも設けています。正しい知識を身につけて、安心して過ごしましょう。

1. 溶連菌感染症とは?A群溶血性連鎖球菌の特徴

溶連菌感染症は、A群溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)という細菌によって引き起こされます。この菌は主に咽頭(のど)に感染し、咽頭炎や扁桃炎を起こします。非常に感染力が強く、飛沫感染や接触感染によって広がります。特に冬から春にかけて流行しやすい感染症です。

名称 特徴 感染経路 主な発症年齢
A群溶血性連鎖球菌 グラム陽性球菌、β溶血性、強い感染力 飛沫感染、接触感染 主に5~15歳の子ども

2. 主な症状と特徴的な兆候

溶連菌感染症の症状は風邪や他の咽頭炎と似ていますが、いくつか特徴的な兆候があります。早期に気づくことで適切な治療が受けやすくなります。

  • 急な高熱(38度以上)
  • 喉の激しい痛み
  • 赤く腫れた扁桃と白い膿点
  • 首のリンパ節の腫れと痛み
  • 全身の倦怠感や頭痛
  • 舌に「いちご舌」と呼ばれる赤くぶつぶつした状態が現れることも

3. 診断方法と検査の流れ

症状だけで診断するのは難しいため、病院では迅速診断キットや咽頭培養検査を行います。迅速診断キットは約10分で結果がわかるため、すぐに治療方針を決めることができます。

検査方法 検査内容 メリット デメリット
迅速抗原検査キット 咽頭からのぬぐい液を用いて菌の有無を判定 短時間で結果が出る(約10分) まれに偽陰性の可能性あり
咽頭培養検査 菌を培養し正確に同定 非常に高い精度 結果判明までに数日かかる

4. 治療方法と注意点

溶連菌感染症の治療は抗生物質の内服が基本です。適切な抗生物質を決められた期間内に飲み切ることで、症状の改善だけでなく合併症の予防にもつながります。自己判断で薬を中断するのは非常に危険です。

治療法 内容 注意点
抗生物質(ペニシリン系) ペニシリンV、アモキシシリンなどを7~10日間服用 服用期間を守り、途中で中断しない
解熱鎮痛剤 熱や痛みの緩和に使用 症状緩和のみで抗菌作用はない
安静・水分補給 体力回復を促す 無理をせず休養する

5. 予防方法と日常生活での注意点

感染力の強い溶連菌感染症を予防するためには、日常生活の中での基本的な衛生管理が大切です。特に子どもや高齢者がいる家庭では注意が必要です。

  • こまめな手洗い・うがい
  • マスクの着用(特に感染が疑われる時期や環境で)
  • タオルや食器の共用を避ける
  • 換気を良くし、密閉空間を避ける
  • 感染者との濃厚接触を控える

6. 溶連菌感染症に関するQ&A

質問 回答
溶連菌感染症はうつりますか? はい。飛沫や接触を通じて感染します。特に発症初期は感染力が強いため注意が必要です。
抗生物質を飲み始めてどのくらいで治りますか? 通常、服用開始後24~48時間で症状が改善しますが、決められた期間は必ず服用してください。
合併症にはどんなものがありますか? リウマチ熱、急性糸球体腎炎、中耳炎、扁桃周囲膿瘍などがあります。特にリウマチ熱は重篤なため注意が必要です。
子どもがかかりやすいのはなぜ? 免疫が未熟であることと、集団生活での感染機会が多いためです。
予防接種はありますか? 現在、溶連菌感染症に対するワクチンは市販されていません。基本は衛生管理による予防が重要です。

まとめ

溶連菌感染症(A群溶血性連鎖球菌咽頭炎)は、感染力が強く症状もつらいですが、適切な診断と治療によって治すことが可能です。特に小さなお子さんがいる家庭では注意が必要で、症状が出たら早めに医療機関を受診しましょう。手洗いやうがい、マスクの着用など基本的な感染予防を徹底し、健康を守ることが大切です。正しい知識と対策で安心できる毎日を過ごしましょう。

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