点眼薬だけじゃない!緑内障の治療法を徹底解説:手術やレーザー治療の最新情報と費用

1. 第一選択:点眼薬による治療

初期の緑内障や、眼圧を下げる必要がある場合の第一選択肢です。複数の薬剤があり、単独または組み合わせて使用されます。

治療法 作用メカニズム メリット デメリット・注意点
点眼薬 房水(眼内の液体)の産生を抑える、または房水の排出を促進する。 体への負担が最も少ない。外来で容易に開始・継続できる。 毎日、決まった時間に正確に点眼する必要がある。充血や眼の周りの色素沈着などの副作用が出ることがある。
費用 薬の種類により異なるが、保険適用で1ヶ月数千円程度。

2. 低侵襲で注目の最新治療:レーザー治療

点眼薬で眼圧が十分に下がらない場合や、点眼が困難な場合に検討されます。

① SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)

  • 仕組み:房水の排出口である線維柱帯に、低出力のレーザーを照射し、詰まりを改善して房水の排出を促進します。
  • 特徴:線維柱帯の細胞だけを選択的に破壊するため、眼組織へのダメージが少ないのが特徴です。
  • 費用:保険適用。片眼あたり数万円程度。

② その他のレーザー治療

  • レーザー虹彩切開術(LI):急性緑内障発作や、そのリスクがある閉塞隅角緑内障の治療に用いられ、房水の流れを改善します。

3. 手術による治療の最新情報と費用

点眼薬やレーザー治療でも眼圧コントロールが難しい場合、または重症の場合に検討されます。

① 線維柱帯切開術・切除術(トラベクレクトミー)

  • 仕組み:房水の排出経路の抵抗を取り除くために、線維柱帯を切開(トラベクロトミー)または切除(トラベクレクトミー)して、新しい房水の流出路を造設する手術です。
  • 特徴:眼圧を下げる効果が最も高い手術ですが、術後の管理が難しく、感染症などの合併症リスクもあります。
  • 費用:保険適用。入院期間や術式により異なりますが、自己負担額は高額療養費制度の対象となります。

② MIGS(低侵襲緑内障手術)

  • 最新のトレンド:近年、注目されているのが、MIGS (Minimally Invasive Glaucoma Surgery)と呼ばれる一連の低侵襲手術です。
  • 特徴:専用の小さなインプラントやカテーテルを使い、眼組織への負担を最小限に抑えて房水排出を改善します。手術時間が短く、術後の回復が早いため、比較的早期から検討されることが増えています。
  • 費用:保険適用。使用するインプラントや術式により異なります。
治療のステップ 治療法 目的と効果
Step 1 点眼薬 まずは点眼で眼圧の目標値を達成する。
Step 2 レーザー治療(SLTなど) 点眼効果が不十分な場合や点眼継続が困難な場合に、低侵襲な選択肢として検討。
Step 3 MIGS 点眼・レーザーが効かない場合や、より確実な眼圧下降が必要な場合に検討される低侵襲手術。
Step 4 線維柱帯切除術 最も強力な眼圧下降が必要な場合や、進行した緑内障に対して行う手術。

どの治療法を選択するかは、緑内障の進行度、眼圧の目標値、患者さんの生活スタイルや希望によって、眼科専門医と慎重に相談して決定されます。