疥癬

「最近、皮膚がかゆくて眠れない…」そんな症状が続いているなら、もしかするとそれは「疥癬(かいせん)」かもしれません。

疥癬はヒゼンダニというダニが皮膚に寄生することによって起こる感染性の皮膚疾患です。高齢者施設や病院などで集団感染することも多く、放置すると重症化することもあります。

本記事では、疥癬の基本から症状、治療法、予防方法までを医療現場の知見に基づいてわかりやすく解説していきます。

疥癬とは?その正体と原因

疥癬(Scabies)は、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)が人の皮膚に寄生し、トンネルを掘って卵を産むことで起こる感染症です。

感染経路:

  • 皮膚と皮膚の直接接触(握手、添い寝、介護など)
  • タオルや衣類、寝具などを介した間接的な接触(ただし可能性は低い)
要素 内容
病原体 ヒゼンダニ
潜伏期間 感染後2〜6週間(再感染では1〜4日)
主な感染経路 皮膚の接触、介護、ベッドの共有

疥癬の主な症状とは

疥癬の最も特徴的な症状は激しいかゆみです。特に夜間に悪化する傾向があり、不眠の原因になることもあります。

  • 夜間に強くなるかゆみ
  • 小さな赤い発疹や水ぶくれ
  • 手首・指の間・ひじ・おなか・陰部などに好発
  • トンネル状の線状病変(疥癬トンネル)

かゆみが強いために掻き壊すと、細菌感染を合併することもあります。

疥癬の診断と検査

皮膚科医による診察が必要です。確定診断には以下のような検査が行われます。

  • 皮膚掻爬検査:病変部の皮膚を採取して顕微鏡でダニや卵を確認
  • ダーモスコピー:虫体やトンネル構造を拡大鏡で観察
  • 臨床所見:典型的な発疹と部位、かゆみの有無から推定

疥癬の治療方法

疥癬は、外用薬や内服薬で治療が可能です。ただし、すべての家族や接触者も同時に治療することが再感染防止のカギとなります。

治療法 概要
外用薬(スミスリンなど) 全身に塗布し、数日おきに繰り返す
内服薬(イベルメクチン) 飲み薬で体全体に作用。集団感染時に有効
かゆみ止め 抗ヒスタミン薬やステロイド外用

疥癬の予防と感染拡大防止策

疥癬は早期発見・早期治療が最も効果的な予防策です。特に高齢者施設や医療現場では注意が必要です。

  • 発症者との接触を避ける
  • 衣類・寝具を熱湯や高温乾燥機で処理
  • 感染者の部屋の掃除・消毒
  • 集団生活施設では感染管理マニュアルの遵守

Q&A よくある質問

Q. 疥癬はペットからうつりますか?

A. 基本的に人型ヒゼンダニと動物型は異なります。ペットから感染することはほとんどありません。

Q. 疥癬は自然に治りますか?

A. 自然治癒は困難です。治療せずに放置すると症状が悪化したり、他人に感染させるリスクがあります。

Q. 家族に感染させないために注意すべきことは?

A. 全員が同時に治療を受け、衣類やリネンの洗濯・掃除を徹底しましょう。

まとめ:疥癬は早期発見と治療がカギ!

疥癬は感染性が高く、強いかゆみを伴う皮膚病です。ですが、正しく治療すれば完治可能な病気です。

  • かゆみや皮膚の異常が続くときは皮膚科を受診
  • 感染拡大を防ぐには家族全員の対応が重要
  • 再発・再感染を防ぐには環境整備が必須

「かゆい」だけと思わず、早めに医師に相談しましょう。

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