眼窩骨折

眼窩骨折(がんかこっせつ)は、目の周りの骨である「眼窩(がんか)」が外部からの強い衝撃により折れる状態を指します。顔面の骨折の中でも比較的多いタイプで、交通事故やスポーツ、転倒などの際に起こりやすいです。眼窩は眼球を包み込み、眼球の位置を保つ重要な役割を持つため、骨折が起こると視力障害や目の位置ずれ、顔面の変形などの問題が生じる可能性があります。

眼窩骨折の原因と主なリスク要因

眼窩骨折は主に強い打撃や衝撃によって引き起こされます。以下の表に主な原因とリスク要因をまとめました。

原因 具体例 特徴・ポイント
外傷性打撃 交通事故、暴行、スポーツ中の接触プレー 顔面に直接衝撃が加わることが多く、複数の骨折を伴うこともある
転倒 階段からの転落、滑って顔を打つなど 高齢者に多く、骨粗鬆症があると骨折しやすい
事故や落下 高所からの落下、作業現場での事故など 重症化しやすく、顔面や頭部の他の部位も損傷しやすい

眼窩骨折の種類と症状の特徴

眼窩骨折は骨折部位や骨の折れ方によって分類され、症状も異なります。代表的なタイプは以下の通りです。

  • 眼窩底骨折:眼窩の下側の骨(底部)が折れる。眼球が下に落ち込む「眼球陥没」や、複視(物が二重に見える)が起こる。
  • 眼窩側壁骨折:眼窩の側面の骨が折れ、顔面の変形や腫れを伴う。
  • 眼窩上壁骨折:まぶたの上部の骨が折れることもあるが比較的稀。
骨折部位 主な症状 注意点
眼窩底 眼球陥没、複視、眼球運動障害、腫れ 視力障害のリスクが高いので早期診断が重要
眼窩側壁 顔面の腫れ、痛み、変形 他の骨折と合併することが多い
眼窩上壁 頭痛、眼瞼浮腫(まぶたのむくみ) まれだが神経障害が起こる可能性あり

眼窩骨折の診断方法と検査の流れ

眼窩骨折の診断には、まず問診と視診、触診が行われます。その後、画像検査によって骨折の状態を正確に把握します。代表的な検査法は次の通りです。

  • CT(コンピュータ断層撮影):骨折の詳細な状態を確認するために最も有効。眼窩内の骨のずれや眼球陥没の有無を検査。
  • X線検査:簡易的に骨の異常を確認するが、CTよりも精度は劣る。
  • 眼科的検査:視力検査や眼球運動検査、複視の有無を確認。

眼窩骨折の治療法と予後

眼窩骨折の治療は骨折の程度や症状により異なります。軽度であれば保存的治療で経過観察を行い、重度の場合は手術が必要になります。

治療法 内容 適応条件
保存療法 安静、冷却、抗炎症薬の投与、眼球運動制限 骨折のずれが少なく、視力障害がない場合
手術療法 骨片の整復、骨の固定、眼窩内の異物除去 眼球陥没や複視、重度の骨折変形がある場合
リハビリテーション 眼球運動の訓練、顔面筋肉の機能回復 手術後や症状軽減後に行う

眼窩骨折に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 眼窩骨折は自然に治りますか?

A1. 軽度の眼窩骨折で骨のずれがほとんどない場合は自然治癒することがありますが、視力障害や眼球運動障害があれば早急に医療機関での治療が必要です。

Q2. 眼窩骨折の手術はどのくらいの期間で回復しますか?

A2. 個人差はありますが、手術後は約2週間で腫れや痛みが改善し、完全な回復には数ヶ月かかることがあります。リハビリも重要です。

Q3. 眼窩骨折の治療を受けなかった場合のリスクは?

A3. 視力低下、複視、顔面の変形、慢性的な痛みや神経障害が残る可能性が高くなります。適切な治療が必要です。

Q4. 予防方法はありますか?

A4. スポーツや作業時の保護メガネの着用、交通ルールの遵守、転倒防止のための環境整備が有効です。

まとめ

眼窩骨折は顔面の重要な骨が損傷するため、放置すると視力障害や顔面の変形など深刻な後遺症を引き起こす可能性があります。早期発見と適切な治療が回復の鍵となりますので、顔面に強い衝撃を受けた際には速やかに医療機関で診断を受けましょう。この記事でご紹介した原因、症状、診断方法、治療法を参考にして、眼窩骨折の理解を深めていただければ幸いです。

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