硝子体出血

硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)とは、眼球の内部にある透明なゼリー状の組織「硝子体」内で出血が起こる状態を指します。主に網膜の血管からの出血が硝子体内に流れ込み、視界がかすんだり、暗い斑点が見えたりすることがあります。

特に中高年層や糖尿病患者に多く見られ、放置すると視力低下の原因にもなります。ここでは、硝子体出血の原因や症状、治療法、予防策などを詳しく紹介していきます。

硝子体出血の主な原因

硝子体出血の原因はさまざまですが、特に以下の病気が関係しています。

原因 説明 リスク層
糖尿病網膜症 糖尿病による網膜の血管障害で、新生血管が破れて出血する。 糖尿病患者全般
網膜静脈閉塞症 網膜の静脈が詰まり、血液の流れが妨げられ出血する。 高血圧・高脂血症の患者
網膜裂孔・網膜剥離 網膜が裂けることで出血し、硝子体に流れ込む。 強度近視の人や外傷歴のある人
外傷(眼球打撲など) 物理的な衝撃で血管が破れる。 スポーツ選手や事故に遭った人
その他(加齢黄斑変性症など) まれに加齢に伴う病気でも発生。 高齢者

硝子体出血の症状と診断方法

硝子体出血が起きると、主に以下のような症状が現れます。

  • 視界に黒い浮遊物(飛蚊症)が増える
  • 視界がかすんだり、ぼやける
  • 視力が急激に低下することもある
  • 暗い斑点や影が見える

症状は軽度から重度まで様々で、場合によっては視力のほとんどが見えなくなることもあります。早期発見のためには定期的な眼科検診が重要です。

診断には眼底検査や超音波検査が使われます。眼底検査で出血の有無を確認し、硝子体が濁っていて網膜が見えにくい場合は超音波検査で詳細を調べます。

硝子体出血の治療法

硝子体出血の治療は、出血の程度や原因によって異なります。主な治療方法は以下の通りです。

治療法 内容 適応例
経過観察 軽度の出血で自然に吸収される場合、定期的に経過を見守る。 軽度の硝子体出血
薬物治療 抗VEGF薬の注射などで新生血管の成長を抑制。 糖尿病網膜症などの新生血管が原因の出血
硝子体手術(硝子体切除術) 出血した硝子体を除去し、網膜の修復を行う。 重度の出血や視力低下が著しい場合
レーザー治療 網膜の新生血管をレーザーで焼灼し、出血を防ぐ。 網膜症の進行を防ぎたい場合

硝子体出血の予防と日常生活の注意点

硝子体出血を予防するためには、原因となる病気の管理が不可欠です。以下のポイントに注意しましょう。

  • 糖尿病の血糖コントロール:血糖値を安定させることで網膜症の発症・進行を防ぐ。
  • 高血圧・高脂血症の管理:血管の健康維持に努める。
  • 定期的な眼科検診:早期発見・早期治療が可能に。
  • 眼の外傷を避ける:スポーツ時は保護メガネを使用。
  • 喫煙の禁止:血管障害のリスクを高めるため控える。

Q&A:硝子体出血に関するよくある質問

質問 回答
硝子体出血は自然に治りますか? 軽度の出血であれば自然に吸収されることがありますが、重度の場合は治療が必要です。必ず眼科医の診断を受けましょう。
治療をしなかったらどうなりますか? 出血が続くと視力が著しく低下し、最悪の場合失明するリスクがあります。早期の治療が重要です。
硝子体手術のリスクはありますか? 感染症や網膜剥離、白内障の進行などのリスクがありますが、近年は技術の進歩で安全性が高まっています。
飛蚊症と硝子体出血の違いは? 飛蚊症は硝子体内の濁りによるもので、必ずしも出血を伴いません。一方、硝子体出血は血液が混ざっているため、急に飛蚊症状が増えた場合は注意が必要です。
予防のために日常生活で気をつけることは? 糖尿病や高血圧の管理、定期的な眼科検診、眼の外傷防止が重要です。また、バランスの良い食事と禁煙も効果的です。

まとめ

硝子体出血は、主に網膜の血管障害によって眼内に出血が起こる疾患です。糖尿病や高血圧などの生活習慣病が背景にあることが多く、症状の進行によっては視力低下や失明のリスクもあります。早期発見と適切な治療、そして何よりも原因となる病気の予防・管理が大切です。定期的な眼科検診を受け、異常を感じたら速やかに医師に相談しましょう。

この記事が硝子体出血についての理解を深め、健康な視力維持に役立つことを願っています。

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