頭を打った後、時間が経ってから症状が現れることがある「
硬膜下血腫」。この病気は放置すると命に関わる可能性もあります。本記事では、硬膜下血腫の種類、症状、原因、診断方法、治療法、予防策までをわかりやすく解説します。
硬膜下血腫とは?
硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)とは、脳を覆っている硬膜と脳の間に血液が溜まる状態です。この血液が脳を圧迫し、さまざまな神経症状を引き起こします。高齢者や頭部外傷後に発症することが多く、急性と慢性の2種類があります。
分類 |
特徴 |
発症までの時間 |
急性硬膜下血腫 |
重篤な頭部外傷後に急速に出血 |
数時間以内 |
慢性硬膜下血腫 |
軽度の外傷後、ゆっくり出血 |
数日~数週間後 |
硬膜下血腫の主な原因
硬膜下血腫の原因は以下の通りです:
- 頭部への強い衝撃(交通事故、転倒など)
- 高齢による脳の萎縮(慢性型に多い)
- アルコール依存や抗凝固薬の使用
- スポーツ中の打撲(特にボクシング、ラグビーなど)
主な症状と経過
硬膜下血腫の症状は、出血のスピードと血腫の大きさによって異なります。
タイプ |
主な症状 |
急性 |
意識障害、嘔吐、片麻痺、けいれん |
慢性 |
頭痛、物忘れ、ふらつき、性格の変化 |
診断方法
硬膜下血腫の診断には以下のような検査が用いられます:
- CT検査:最も一般的。血腫の位置と大きさが確認可能。
- MRI検査:慢性血腫や脳萎縮の程度の確認に有効。
- 神経学的診察:意識状態、運動機能、言語障害の確認。
治療方法
硬膜下血腫の治療は症状や出血の程度によって異なります。
治療法 |
内容 |
保存療法 |
軽症で自然吸収が期待できる場合。経過観察。 |
穿頭ドレナージ |
小さな穴を頭蓋骨に開けて血腫を排出。慢性型で多い。 |
開頭手術 |
血腫が大きく、脳を強く圧迫している場合に適用。 |
硬膜下血腫の予防策
- 転倒予防:高齢者は室内のバリアフリー化や手すりの設置を。
- ヘルメット着用:自転車やバイク運転時は必須。
- アルコールの節制:転倒リスクを高めるため。
- 抗凝固薬の管理:医師の指導の下で使用。
よくある質問(Q&A)
Q1:硬膜下血腫は自然に治ることがありますか?
A1:慢性硬膜下血腫で症状が軽ければ、自然に吸収されることもありますが、医師による定期的な経過観察が必要です。
Q2:再発することはありますか?
A2:慢性硬膜下血腫は再発率が10~20%程度あり、特に高齢者でリスクが高くなります。
Q3:高齢の家族が最近物忘れやふらつきを訴えています。関係ありますか?
A3:慢性硬膜下血腫の可能性もあります。早めに医療機関でCTやMRIの検査を受けることをおすすめします。
まとめ
硬膜下血腫は、早期発見と適切な治療が命を救う重要な疾患です。特に高齢者や頭部を打ったことのある人は、数週間後に症状が出ることもあるため、注意が必要です。「ちょっと様子が変だな」と感じたら、迷わず医療機関を受診しましょう。
予防のためにも、生活環境の見直しや、頭部を守る意識を高めることが大切です。