「急に片側の陰嚢が痛くなった」「歩くのもつらい」
このような症状が現れたとき、考えられる重大な病気のひとつが「精巣捻転(せいそうねんてん)」です。
精巣捻転は一刻を争う緊急疾患で、治療が遅れると精巣を失う危険性もあります。
本記事では、精巣捻転の症状・原因・診断法・治療法・予防策などを総合的に解説します。早期発見・早期対応の重要性を知るためにも、ぜひ最後までお読みください。
精巣捻転とは?
精巣捻転とは、精巣(睾丸)が付け根の精索(せいさく)ごとねじれてしまう状態を指します。これにより血管が圧迫され、精巣への血流が遮断されます。
放置すると数時間以内に精巣が壊死し、取り除かざるを得なくなるケースもあります。
年齢層別の発症頻度
年齢層 | 発症しやすさ |
---|---|
新生児(0歳) | ★★★(産まれてすぐに起こるケースも) |
思春期(10~18歳) | ★★★★★(最も多い) |
成人(20代~30代) | ★★(まれだが注意) |
高齢者(60歳以上) | ★(極めてまれ) |
精巣捻転の原因
明確な原因ははっきりしていませんが、以下のような要因が関係するとされています。
- 精巣が精索の中で自由に動く「鐘のふり子様変異」がある
- 運動や外傷による刺激
- 就寝中の寝返りや体位変換
- 寒冷刺激(冬に多い)
特に思春期の男子は精巣の発達に伴い動きやすくなるため、発症リスクが高まります。
精巣捻転の主な症状
以下のような症状が急に現れた場合、精巣捻転を疑う必要があります。
- 片側の陰嚢の激しい痛み
- 陰嚢の腫れ
- 赤みや熱感
- 吐き気・嘔吐(小児に多い)
- 精巣が通常の位置より上に引き上げられる
- 発熱(感染と誤認されることも)
発症から6時間以内が勝負とされており、この時間内に治療できれば救える確率が高くなります。
診断と検査
病院では次のような方法で診断が行われます。
検査方法 | 内容 |
---|---|
視診・触診 | 腫れや位置の変化、痛みの場所を確認 |
超音波検査(ドプラ) | 血流の有無を確認(血流がなければ捻転が疑われる) |
尿検査 | 尿路感染症との鑑別 |
精巣捻転は泌尿器科の緊急対応が必要な疾患であり、迷ったらすぐに病院へ行くことが大切です。
治療法と手術
精巣捻転の治療は、手術による整復と固定が基本です。
- 捻転整復術:ねじれた精巣を元の位置に戻す
- 固定術:再発を防ぐため、精巣を陰嚢の内壁に縫い付けて固定
発症から6時間以内であれば保存可能な確率は90%を超えますが、12時間を超えると壊死率が急上昇します。
Q&A:よくある質問
Q1. 自然に治ることはありますか?
A. 自然に治るケースは極めてまれです。たとえ一時的に痛みが軽減しても、放置は危険です。
Q2. 予防方法はありますか?
A. 先天的な原因(鐘のふり子変異)には予防が難しいですが、再発防止のためには両側固定手術が有効です。
Q3. 子どもが泣いて陰嚢を触っているのですが、捻転の可能性は?
A. 十分に可能性があります。泣き止まない、歩けないほどの痛みがある場合はすぐに受診しましょう。
まとめ
精巣捻転は「時間との勝負」です。
放置すれば精巣を失う可能性もあるため、以下のポイントを覚えておきましょう。
- 急な陰嚢痛=すぐに病院へ
- 6時間以内の治療が命運を分ける
- 思春期男子に特に注意
- 再発を防ぐには手術固定も選択肢
ご自身やお子さんの健康を守るためにも、「少しでもおかしい」と感じたら、迷わず泌尿器科を受診しましょう。