精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は、男性不妊の原因としても知られる疾患です。あまり聞き慣れない病名ですが、20代〜40代の男性に比較的多く見られる問題です。本記事では、精索静脈瘤の基本的な情報から、原因、症状、治療方法、日常生活への影響まで、詳しく解説していきます。
精索静脈瘤とは?
精索静脈瘤とは、精巣へとつながる血管(精索静脈)が異常に拡張し、瘤(こぶ)状になる状態を指します。これは下肢静脈瘤と似たようなメカニズムで起こるもので、血液が逆流することによって静脈がこぶのように膨らみます。
多くは左側の陰嚢に発症し、男性不妊や陰嚢の不快感などの症状を引き起こします。特に若い男性で無症状のまま見逃されることもあり、健康診断や不妊治療の検査で発見されることが多いです。
精索静脈瘤の主な原因
精索静脈瘤が発生する原因は主に以下のような要因が考えられます。
原因 | 内容 |
---|---|
静脈弁の異常 | 逆流を防ぐ弁が機能不全となり、血液が逆流しやすくなる |
解剖学的な構造 | 左精索静脈が腎静脈に直角に接続されているため血流が滞りやすい |
立ち仕事・長時間の座位 | 下半身の血流が滞りやすく、静脈に負荷がかかる |
加齢・運動不足 | 血管の弾力性が失われやすくなる |
精索静脈瘤の症状とセルフチェック
精索静脈瘤には以下のような症状がありますが、無症状の場合も珍しくありません。
- 陰嚢の重だるさ・不快感
- 陰嚢の腫れ・左側が膨らんで見える
- 立っていると症状が悪化し、横になると軽減する
- 不妊症(精子の質の低下)
セルフチェック方法:
シャワー後などリラックスした状態で、陰嚢を触ってみましょう。左側に「ミミズのようなコブ」や血管の塊が触れる場合は、精索静脈瘤の可能性があります。
精索静脈瘤の診断と検査方法
病院では以下のような方法で診断が行われます。
検査方法 | 特徴 |
---|---|
視診・触診 | 立位で陰嚢を診察し、こぶの有無を確認 |
超音波検査(エコー) | 静脈の拡張や血液の逆流を確認する精密検査 |
精液検査 | 精子の運動率や濃度などを調べる |
治療法:保存療法と手術療法
精索静脈瘤の治療は、症状の程度や不妊への影響を考慮して決定されます。
保存療法(経過観察)
- 症状が軽度または無症状の場合は経過観察が基本
- 生活習慣の改善(長時間の立位を避ける、運動)
- 陰嚢サポーターの使用
手術療法
以下のようなケースでは手術が推奨されます:
- 不妊症と診断された場合
- 症状が日常生活に支障をきたすほどの痛みや違和感がある場合
代表的な手術方法:
手術名 | 特徴 |
---|---|
顕微鏡下低位結紮術 | 成功率が高く再発率が低い。一般的な治療法 |
腹腔鏡手術 | 腹部に小さな穴を開けて血管を処理。回復が早い |
カテーテル塞栓術 | 血管内に塞栓物質を入れて血流を止める低侵襲治療 |
よくある質問(Q&A)
- Q1. 精索静脈瘤は自然に治りますか?
- A1. 基本的には自然治癒しません。無症状であれば経過観察が可能ですが、症状が悪化する場合は治療が必要です。
- Q2. 精索静脈瘤があると必ず不妊になりますか?
- A2. 全ての人が不妊になるわけではありませんが、精子の質を低下させる可能性があるため、要注意です。
- Q3. 手術後の回復期間はどのくらいですか?
- A3. 術式にもよりますが、日帰りまたは1泊入院が多く、1週間程度で日常生活に復帰できます。
まとめ:早期発見・治療が鍵
精索静脈瘤は、見た目に分かりづらい病気ですが、放置すると不妊症や陰嚢の慢性的な不快感につながる可能性があります。
症状が気になる場合は、泌尿器科や男性不妊専門のクリニックでの受診を検討しましょう。早期発見・早期治療により、症状の改善と生活の質向上が期待できます。
【この記事のポイント】
- 精索静脈瘤は静脈が膨らむ病気で、不妊の原因にも
- セルフチェックが可能。気になる症状があれば病院へ
- 手術療法は高い効果が期待でき、再発率も低い
ご自身やパートナーの健康を守るためにも、気になる症状があれば早めの受診をおすすめします。