紫斑病(しはんびょう)は、皮膚や粘膜に紫色の斑点(紫斑)が現れる病気で、主に血管の炎症や血小板の異常が原因で発症します。特に子どもに多く見られる一方で、大人でも発症することがあり、その原因や治療法を正しく理解することが大切です。本記事では紫斑病の基礎知識から最新の治療法、注意点まで幅広く解説します。
紫斑病とは?基本的な概要
紫斑病は、血管の炎症によって皮膚や粘膜の毛細血管が破れて出血し、紫色の斑点ができる病気です。医学的には「血管炎」の一種として分類されます。代表的なものに「アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)」があります。症状の出方や重症度は個人差がありますが、主に皮膚の紫斑、関節痛、腹痛、腎臓の異常が特徴です。
紫斑病の主な症状
症状 | 詳細 |
---|---|
紫斑 | 主に下肢や臀部に出る紫色の斑点や斑状出血。押しても色が変わらないのが特徴。 |
関節痛 | 特に膝や足首の関節に痛みや腫れが生じることが多い。 |
腹痛 | 血管炎による腸管の炎症で激しい腹痛や吐き気、嘔吐を伴う場合もある。 |
腎障害 | 尿に血が混ざる、タンパク尿が出るなどの症状が出ることがあり、重症化すると腎不全のリスクも。 |
発熱 | 軽度から中程度の発熱が見られることもある。 |
紫斑病の原因と発症メカニズム
紫斑病の原因は完全には解明されていませんが、多くの場合、感染症(特に上気道感染症)が引き金となって免疫反応が過剰に活性化し、血管壁に免疫複合体が沈着することによる血管炎が起こると考えられています。
以下に主な発症メカニズムをまとめます。
- 感染症やアレルギー反応で免疫系が活性化
- 免疫複合体(IgA抗体を含む)が血管壁に沈着
- 血管壁の炎症と損傷が発生
- 毛細血管が破れて皮膚や臓器に出血
特に小児では自己免疫異常が関与しやすく、大人では基礎疾患や薬剤が関与するケースもあります。
紫斑病の診断方法
診断は主に以下の要素を組み合わせて行います。
診断方法 | 説明 |
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問診・身体所見 | 紫斑の分布、関節痛や腹痛の有無など症状の詳細確認。 |
血液検査 | 炎症反応(CRP、赤沈)、血小板数、腎機能検査など。 |
尿検査 | 血尿やタンパク尿の有無を調べ、腎障害の兆候を確認。 |
皮膚生検 | 必要に応じて、紫斑部の皮膚組織を採取し免疫染色でIgAの沈着を確認。 |
画像検査 | 腹痛が強い場合は腹部エコーやCT検査で腸管の状態を確認。 |
紫斑病の治療法と生活上の注意点
紫斑病の治療は主に対症療法が中心です。多くの場合は自然に治癒しますが、症状が重い場合や腎障害が疑われる場合は専門的な治療が必要です。
- 安静:激しい運動や長時間の立ち仕事は避ける。
- 薬物療法:炎症や痛みを抑えるためにステロイドや免疫抑制剤を使用する場合がある。
- 水分補給と栄養管理:腎機能に配慮した食事療法が必要なことも。
- 定期検査:腎障害の有無を確認するため、定期的な尿検査や血液検査が重要。
紫斑病に関するよくある質問(Q&A)
- Q1. 紫斑病はうつる病気ですか?
- A. 紫斑病自体は感染症ではなく、うつりません。ただし、発症のきっかけとなる感染症は感染力があります。
- Q2. 紫斑が消えない場合はどうすれば良いですか?
- A. 通常は数週間で自然に消えますが、長期間続く場合は医療機関で再検査を受けてください。
- Q3. 子どもがかかりやすいですか?
- A. はい、特に4歳〜7歳の子どもに多いですが、大人でも発症することがあります。
- Q4. 紫斑病は完治しますか?
- A. 多くは自然治癒しますが、腎障害が残る場合もあるため、経過観察が必要です。
- Q5. 食事で気をつけることはありますか?
- A. 特に腎臓に負担をかけないよう塩分控えめ、タンパク質の過剰摂取を避けることが推奨されます。
まとめ
紫斑病は、主に子どもに多く見られる血管炎の一種で、皮膚の紫斑や関節痛、腹痛などの症状が特徴です。原因は免疫異常による血管炎で、多くは自然に治癒しますが、腎障害など重篤な合併症もあるため、早期の診断と適切な管理が重要です。症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診し、医師の指示に従うことをおすすめします。