細菌性赤痢は、発展途上国だけでなく、日本国内でも注意すべき感染症です。特に、海外渡航者や食品の衛生管理に関わる方にとっては身近なリスクといえます。この記事では、細菌性赤痢の原因から症状、予防法までを徹底的に解説します。
細菌性赤痢とは?
細菌性赤痢は、赤痢菌(Shigella)と呼ばれる細菌によって引き起こされる感染症です。主に経口感染によって広がり、特に不衛生な水や食べ物を介して感染します。重度の下痢と激しい腹痛が特徴で、時には命に関わることもあります。
細菌性赤痢の主な原因と感染経路
細菌性赤痢は非常に感染力が強く、ほんの少量(10〜100個)の菌でも発症することがあります。以下に感染経路をまとめました。
感染経路 | 具体例 |
---|---|
水や氷 | 不衛生な井戸水、生水、氷など |
食物 | 加熱不十分な野菜・果物・魚介類 |
人から人 | 家庭内や集団生活での接触感染 |
手指・器具 | 汚染された手で触れたドアノブや食器 |
細菌性赤痢の主な症状
細菌性赤痢の症状は、感染後1〜3日の潜伏期間を経て発症します。症状の程度は年齢や体力、感染した菌の種類によって異なります。
- 激しい水様性下痢(1日10回以上の場合も)
- 血便・粘血便
- 腹痛・けいれん性の腹部不快感
- 発熱(38℃以上)
- 倦怠感、吐き気
特に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人は重症化しやすいため、早期の診断と治療が重要です。
診断と治療方法
細菌性赤痢は便培養検査で確定診断されます。保健所への届け出が義務付けられており、集団感染の防止が最重要です。
治療方法:
- 抗菌薬(抗生物質)投与:シプロフロキサシンなどが一般的
- 輸液療法:脱水予防のための経口または点滴補水
- 整腸薬:腸内環境の改善サポート
自己判断で下痢止めを使うのは危険です。毒素が体内に留まることで症状が悪化する可能性があります。
細菌性赤痢の予防法
感染を未然に防ぐためには、以下のような予防対策が重要です。
旅行時の予防策:
- 現地の生水は避ける(氷もNG)
- 加熱調理された食品を選ぶ
- 野菜や果物はよく洗う or 皮をむく
日常生活での対策:
- 石けんと流水での手洗いを徹底
- トイレ後・調理前の手指消毒
- 食器や調理器具の熱湯消毒
細菌性赤痢に関するよくある質問(Q&A)
- Q1. 細菌性赤痢は日本でも感染しますか?
- A1. はい、主に海外帰国者からの持ち込みや、家庭内感染で発症するケースがあります。
- Q2. 潜伏期間はどれくらいですか?
- A2. 通常は1〜3日ですが、稀に5日程度かかることもあります。
- Q3. ワクチンはありますか?
- A3. 現時点(2025年)では、一般向けのワクチンは存在しません。予防には手洗いや食品衛生が重要です。
- Q4. 再感染することはありますか?
- A4. はい、免疫は一時的で、同じ型でも再感染のリスクがあります。
まとめ:細菌性赤痢は予防がカギ
細菌性赤痢は、予防が何より重要な感染症です。特に海外旅行の際や集団生活をする施設では、基本的な手洗いや食品の取り扱いに注意することがリスク低減につながります。症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、早期の診断と治療を心がけましょう。
🔍豆知識:
世界保健機関(WHO)によると、細菌性赤痢は年間約1億6,000万人が感染し、60万人以上が死亡していると推定されています。清潔な水と衛生環境がカギとなります。
世界保健機関(WHO)によると、細菌性赤痢は年間約1億6,000万人が感染し、60万人以上が死亡していると推定されています。清潔な水と衛生環境がカギとなります。