耳下腺炎は、耳の下にある「耳下腺」と呼ばれる唾液腺が炎症を起こす病気です。子どもから大人まで発症する可能性があり、特にウイルス性のものは「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」として知られています。本記事では、耳下腺炎の原因や症状、治療方法、予防策までをわかりやすく解説します。
耳下腺炎とは?基本情報を解説
耳下腺炎(じかせんえん)は、耳のすぐ下に位置する唾液腺「耳下腺」が炎症を起こす疾患です。この炎症は、細菌やウイルスによって引き起こされることが多く、急性と慢性の2つのタイプに分かれます。
分類 | 原因 | 代表的な疾患 |
---|---|---|
ウイルス性 | ムンプスウイルス(おたふくかぜ)など | 流行性耳下腺炎 |
細菌性 | 黄色ブドウ球菌など | 化膿性耳下腺炎 |
慢性耳下腺炎 | 繰り返しの感染や自己免疫疾患 | 慢性化した炎症状態 |
耳下腺炎の主な症状
耳下腺炎の症状は原因によって異なりますが、共通する症状も多く見られます。
- 耳の下やあご付近の腫れ
- 発熱(特にウイルス性)
- 口を開けにくい、咀嚼時の痛み
- 唾液の分泌量減少
- 圧痛(押すと痛い)
特におたふくかぜでは、左右どちらか、または両側の耳下腺が腫れ、発熱とともに顔が丸く腫れるのが特徴です。
耳下腺炎の原因:ウイルス?細菌?
耳下腺炎は、以下のような原因で発症します:
ウイルス性耳下腺炎
ムンプスウイルスによる感染が代表例で、いわゆる「おたふくかぜ」です。飛沫感染によって広がり、主に5歳~15歳の子どもに多く見られます。
細菌性耳下腺炎
免疫力が低下しているときや、唾液の流れが悪くなったときに、口腔内の細菌が耳下腺に入り込み炎症を起こします。高齢者や慢性的に口が乾燥している方がなりやすいです。
慢性耳下腺炎
長期間にわたって軽度の炎症を繰り返すケースで、シェーグレン症候群など自己免疫疾患が関係することもあります。
耳下腺炎の診断と治療法
耳下腺炎の診断には、視診・触診、血液検査、超音波検査、CTなどが用いられます。原因によって治療法は異なります。
種類 | 治療法 |
---|---|
ウイルス性 | 対症療法(安静・水分補給・解熱鎮痛剤など) |
細菌性 | 抗生物質投与・場合によっては切開排膿 |
慢性型 | 長期管理(ステロイド・唾液分泌促進薬など) |
ウイルス性耳下腺炎の場合、完治までに1週間〜10日程度かかることが多いです。
予防策と注意点
耳下腺炎は完全に防ぐことは難しいものの、以下の対策でリスクを減らせます。
- ムンプスワクチンの接種(おたふくかぜ予防)
- こまめな口腔ケア
- 水分をしっかりとる(唾液分泌を促す)
- 免疫力を落とさないようにする(栄養・睡眠)
特に子どもには予防接種(任意)が効果的です。大人が発症すると重症化しやすいため、注意が必要です。
耳下腺炎に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 耳下腺炎はうつりますか?
A. ウイルス性(特におたふくかぜ)は飛沫感染でうつるため、感染力があります。一方、細菌性や慢性型はうつりません。
Q2. 何日くらいで治りますか?
A. ウイルス性は通常7〜10日程度、細菌性は抗生物質により数日〜1週間で改善します。慢性型は根治が難しいこともあります。
Q3. 学校や職場はいつから行っていい?
A. おたふくかぜの場合、腫れが引いた後2日以上経過してからが登校・出勤の目安です(学校保健安全法に準拠)。
Q4. 大人でもおたふくかぜになりますか?
A. はい、大人でも感染します。思春期以降は重症化しやすく、合併症(精巣炎、卵巣炎、難聴)に注意が必要です。
まとめ:耳下腺炎は早期対応がカギ!
耳下腺炎は子どもに多く見られる病気ですが、大人も油断できません。特におたふくかぜは予防接種で防げるため、ワクチン接種が有効です。腫れや発熱などの症状が出たら、早めに医療機関を受診し、適切な対処を行いましょう。
普段からの体調管理や口腔ケアも、発症予防に役立ちます。
▶︎ポイントまとめ:
- 耳下腺炎はウイルス性・細菌性・慢性型がある
- 発熱・腫れ・痛みが主な症状
- ウイルス性は感染力が高いため予防接種が有効
- 細菌性は抗生物質で治療、慢性型は継続管理が必要
体調に異変を感じたら、無理をせず医療機関に相談しましょう。