肩関節周囲炎(五十肩)

肩関節周囲炎、通称「五十肩」は、肩の痛みと運動制限を引き起こす代表的な疾患です。特に40代から60代の中高年に多く見られ、日常生活に大きな支障をきたします。本記事では、五十肩の原因、症状、診断方法、治療法、予防策について詳しく解説し、よくある疑問に答えていきます。肩の痛みでお悩みの方はぜひ参考にしてください。

肩関節周囲炎(五十肩)とは?

肩関節周囲炎は肩関節の周囲組織が炎症を起こし、痛みや動きの制限が生じる疾患です。名前の由来は中年以降に多く発症することから「五十肩」とも呼ばれていますが、正式な医学用語は「肩関節周囲炎」や「凍結肩(Frozen Shoulder)」です。主に関節包や腱板、滑液包が影響を受けます。

肩関節周囲炎の原因とメカニズム

五十肩の明確な原因は完全には解明されていませんが、次のような要因が関与すると考えられています。

原因 説明
加齢 40代以降に発症率が高まり、組織の退行変性が影響。
肩の使い過ぎ・負荷 長期間の過度な運動や労働で炎症を起こす。
糖尿病や甲状腺疾患 代謝異常により関節周囲の炎症が促進されやすい。
外傷 肩の打撲や捻挫が引き金になることもある。

肩関節周囲炎の症状と経過

五十肩は一般的に以下の3つのステージに分けられます。各段階での症状が異なり、治療法の選択にも影響します。

ステージ 期間 主な症状
凍結期(痛みの強い時期) 約2〜9ヶ月 激しい肩の痛み、特に夜間痛が強い。動かしにくいが可動域はまだそこまで制限されない。
拘縮期(動きの制限が強まる時期) 約4〜12ヶ月 痛みはやや軽減するが、肩の動きが大幅に制限される。日常生活に支障をきたす。
解凍期(回復期) 約6ヶ月〜2年 痛みがほぼ消失し、徐々に可動域が回復する。

診断方法と検査

五十肩の診断は主に問診と身体検査が中心ですが、必要に応じて画像検査も行います。

  • 問診:痛みの発症時期、痛みの性質、動きの制限の有無を詳細に確認。
  • 身体検査:肩関節の可動域検査や痛みの部位を特定。
  • 画像検査:レントゲン検査で骨の異常を除外し、MRIや超音波検査で腱板損傷や滑液包炎の有無を確認。

治療法とセルフケア

五十肩の治療は保存療法が基本で、痛みの緩和と可動域の改善を目指します。

治療法 内容 ポイント
薬物療法 痛み止め(NSAIDs)、筋弛緩剤、ステロイド注射など。 痛みの緩和に効果的。注射は医師の指示に従う。
理学療法 ストレッチや肩の運動療法、温熱療法。 可動域を保ち、拘縮を防ぐ。
日常生活の工夫 痛みのある側の無理な使用を控え、姿勢に注意。 悪化を防ぎつつ、適度な運動を心がける。
手術療法 重症例で拘縮が強い場合に検討。 一般的には保存療法で十分改善する。

よくあるQ&A

Q1. 五十肩は自然に治りますか?
A. はい、多くの場合は1〜2年かけて自然に回復します。ただし、適切なリハビリを行うことで回復を早め、後遺症を減らせます。
Q2. 仕事を続けても大丈夫ですか?
A. 痛みの程度や仕事の内容によりますが、無理に重い作業を続けると悪化することがあるため、医師と相談してください。
Q3. 運動はしたほうがいいですか?
A. 痛みが強い時期は無理せず安静にし、痛みが落ち着いたら徐々にストレッチや運動療法を始めましょう。
Q4. 五十肩と腱板断裂の違いは何ですか?
A. 五十肩は炎症と拘縮による痛みと動きの制限ですが、腱板断裂は腱が部分的または完全に断裂している状態で、治療法や予後が異なります。

まとめ

肩関節周囲炎(五十肩)は中高年に多く見られる肩の痛みと運動制限を引き起こす疾患ですが、適切な診断と治療を行うことで多くの場合改善します。痛みの段階に応じたケアやリハビリを続けることが重要です。早期に専門医に相談し、自分の症状に合った治療計画を立てることが快適な日常生活への第一歩となります。

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