肺真菌症

咳や息切れが続くのに、風邪とは違う…そんなときに疑われる病気の一つが「肺真菌症」です。これは、真菌(カビ)が肺に感染することで起こる病気で、免疫力が低下している人に特に注意が必要です。この記事では、肺真菌症の原因から症状、検査方法、治療法、予防策までをわかりやすく解説します。

肺真菌症とは?

肺真菌症とは、肺に真菌(カビ)が感染して炎症を引き起こす病気です。健康な人にはあまり見られませんが、免疫力が低下している人、高齢者、がん治療中の人、臓器移植を受けた人などは発症リスクが高まります。

代表的な真菌には以下のようなものがあります:

  • アスペルギルス(Aspergillus)
  • クリプトコッカス(Cryptococcus)
  • ヒストプラズマ(Histoplasma)
  • ニューモシスチス(Pneumocystis jirovecii)

これらの真菌は空気中に広く存在しており、吸い込むことで肺に入り込む可能性があります。

肺真菌症の主な症状

肺真菌症の症状は風邪や肺炎と似ているため、見逃されやすいのが特徴です。以下のような症状が続く場合は注意が必要です。

症状 詳細
慢性的な咳 乾いた咳や痰が絡む咳が数週間以上続く
発熱 38度以上の高熱が続く場合も
呼吸困難 特に階段の上り下りや歩行で息切れ
体重減少 食欲不振や代謝異常による体重減少
倦怠感 日常生活に支障が出るほどのだるさ

特に免疫抑制状態にある方は、症状が急激に悪化することもあるため、早めの受診が重要です。

原因と感染経路

肺真菌症の原因となる真菌は、主に以下の経路で体内に入ります。

  • 吸入感染:空気中の胞子を吸い込むことで肺に到達
  • 血行性感染:他の部位の真菌感染が血液を通じて肺に広がる
  • 外傷性感染:手術や外傷などで真菌が体内に侵入するケースも

特にアスペルギルスは、建設現場や湿気の多い場所に多く存在し、空気中に飛散する胞子が感染源になります。

肺真菌症の検査と診断方法

肺真菌症の診断には複数の検査が必要です。以下に主な検査方法をまとめました。

検査方法 内容
胸部X線・CTスキャン 肺の影や結節、空洞形成の有無を確認
喀痰検査 痰を採取し、真菌の有無を調べる
血液検査 β-Dグルカン値や抗体・抗原検査を実施
気管支鏡検査 肺の奥からサンプルを採取して詳しく調べる

これらの検査を組み合わせて総合的に判断し、他の肺疾患との鑑別も行います。

治療法と予後

肺真菌症の治療には、抗真菌薬(抗カビ薬)が使用されます。症状や感染している真菌の種類によって、以下のような薬が処方されます。

  • ボリコナゾール:アスペルギルス感染に第一選択
  • アムホテリシンB:重症例に用いられるが副作用が強い
  • イトラコナゾール:慢性肺アスペルギルス症に使用
  • ミカファンギン:カンジダやアスペルギルスにも効果あり

治療期間は数週間から数ヶ月に及ぶことが多く、継続的なフォローアップが必要です。治療が遅れると、肺の機能が著しく低下したり、全身感染に至る恐れもあります。

予防方法と日常生活の注意点

肺真菌症は完全に予防することが難しいものの、日常生活で以下のような工夫をすることでリスクを下げられます。

  • 免疫力を保つためにバランスの取れた食事と十分な睡眠を心がける
  • カビの多い場所(湿気の多い浴室やエアコン内部)の清掃を徹底する
  • 建設現場や農作業など、粉じんが舞う環境ではマスクを着用する
  • 抗がん剤治療中や免疫抑制剤使用中は定期的に通院し、異変を早期に発見する

Q&A|肺真菌症に関するよくある質問

Q1. 肺真菌症は人にうつりますか?
A. 通常、肺真菌症は人から人へうつる病気ではありません。空気中に存在する真菌の胞子を吸い込むことで感染します。
Q2. 肺真菌症の再発はありますか?
A. はい、特に基礎疾患がある方や免疫力が低下している方では再発の可能性があります。治療後も定期的な検査が重要です。
Q3. 健康診断で見つかりますか?
A. 一部のケースでは胸部X線で異常が見つかることがありますが、確定診断にはさらに詳しい検査が必要です。

まとめ|肺真菌症は早期発見・早期治療が鍵

肺真菌症は免疫力が低下しているときに発症しやすい病気であり、症状が肺炎や風邪と似ているため見逃されがちです。慢性的な咳や息切れ、発熱が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

本記事では肺真菌症の基礎知識から、症状、検査、治療、予防まで幅広くご紹介しました。自身や家族の健康を守るためにも、日頃からの体調管理と感染対策が大切です。

タイトルとURLをコピーしました