肺結核

肺結核は過去の病気と思われがちですが、現在でも毎年多くの新規患者が報告されている感染症です。初期症状が風邪に似ているため、気づかずに放置されるケースも少なくありません。この記事では、肺結核の基本的な知識から感染経路、治療法、予防対策まで、わかりやすく解説します。

肺結核とは?基本情報と原因

肺結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる感染症です。主に肺に感染しますが、リンパ節や骨、腎臓など他の臓器に広がることもあります。

日本では戦後に大流行した病気で、現在でも根絶されていないため注意が必要です。高齢者や免疫力の低下した人ほど感染リスクが高くなります。

肺結核の主な症状

肺結核の症状は、風邪やインフルエンザとよく似ているため、見過ごされやすいのが特徴です。以下のような症状が2週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

症状 特徴
長引く咳 2週間以上続く乾いた咳が特徴
発熱 微熱が夕方以降に上がりやすい
寝汗 夜間に大量の汗をかく
体重減少 食欲不振により急激に痩せる
倦怠感 全身のだるさが続く

肺結核の感染経路とリスク

肺結核は飛沫感染によって広がります。感染者が咳やくしゃみをすることで、空気中に結核菌が飛散し、近くにいる人がそれを吸い込むことで感染します。

ただし、すべての人がすぐに発病するわけではありません。感染しても免疫力が高ければ潜伏感染のまま発病しないこともあります。

感染リスクが高い人

  • 免疫力が低下している人(糖尿病、HIV感染者など)
  • 高齢者
  • 長期間閉鎖的な空間にいる人(介護施設、刑務所など)
  • 医療従事者

肺結核の診断方法

肺結核の診断には、以下のような方法が用いられます。

検査方法 内容
胸部X線検査 肺の影や異常を確認
喀痰検査 痰の中に結核菌がいるかを調べる
ツベルクリン反応 過去の感染歴の有無を確認
IGRA(血液検査) 結核菌への免疫反応を測定

診断が確定したら、速やかに治療を開始することが大切です。

肺結核の治療と予後

肺結核の治療には抗結核薬を組み合わせた薬物療法が基本となります。治療期間は一般的に6か月以上とされ、途中でやめると薬剤耐性結核になる恐れがあります。

主な治療薬:

  • リファンピシン
  • イソニアジド
  • ピラジナミド
  • エタンブトール

定期的な通院と服薬の継続が、治癒への鍵となります。

肺結核の予防法と再発防止

肺結核の予防には、BCGワクチンの接種が有効です。日本では乳児期に定期接種が行われています。

また、日常生活では以下の点に注意しましょう:

  • 手洗い・うがいの励行
  • 室内の換気をよくする
  • バランスの良い食事と十分な睡眠
  • 定期健康診断の受診

一度治った後でも、免疫力が低下すると再発の可能性がありますので、注意が必要です。

Q&A:肺結核に関するよくある質問

Q1. 肺結核は完治しますか?
A. 適切な治療を受ければ完治可能です。ただし、自己判断で治療を中断すると再発や薬剤耐性の原因になります。
Q2. 肺結核はうつるのですか?
A. はい、特に治療前の結核患者からは飛沫感染でうつる可能性があります。適切な治療で感染力は徐々に弱まります。
Q3. 咳が出るだけで結核の可能性はありますか?
A. 咳が2週間以上続く場合は注意が必要です。他の病気との見分けがつきにくいため、医師の診断を受けることをおすすめします。
Q4. BCGを受けたら感染しませんか?
A. BCGは重症化の予防には有効ですが、感染自体を100%防ぐわけではありません。日常の予防対策も重要です。

まとめ|肺結核は今も身近な感染症

かつて「国民病」とまで言われた肺結核は、現代でも一定数の発症例が報告されており、決して過去の病気ではありません。初期症状が軽いため見過ごされがちですが、放置すると重症化し、他人への感染源となることも。

早期発見・早期治療が最も重要であり、感染拡大を防ぐためには社会全体での理解と予防意識の向上が必要です。

咳が長引く、体重が急激に減る、発熱が続く――そんなときは迷わず病院で検査を受けましょう。自分と大切な人の命を守る第一歩になります。

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