胆嚢ポリープの原因の約9割を占めるのはコレステロールポリープです。これは、胆嚢内のコレステロール代謝異常によって生じます。
1. 胆嚢ポリープの主な原因
① コレステロールポリープ(最も多い原因)
胆汁の成分であるコレステロールが結晶化し、胆嚢の壁に付着して隆起したものです。これは良性であり、がん化するリスクは極めて低いと考えられています。
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直接的な原因: 血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が高い脂質異常症(高脂血症)が最大の原因です。
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関連因子: 肥満、過食、運動不足などの生活習慣が深く関わっています。
② 腺腫(せんしゅ)
胆嚢の粘膜細胞が異常に増殖してできるポリープで、これががん化するリスクを持つため、経過観察や手術の対象となります。
2. コレステロールポリープの再発予防と食事制限
良性のコレステロールポリープは、生活習慣を改善することで増大や再発を防ぐことが可能です。
食事制限の基本:脂質と糖質のコントロール
胆嚢ポリープの再発予防は、脂質異常症の改善が目的となります。
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高カロリー・高脂肪食の制限:
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肉の脂身、揚げ物、生クリームなどの飽和脂肪酸の多い食品を減らします。
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コレステロールを多く含む食品(卵の食べ過ぎ、魚卵など)にも注意が必要です。
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良質な脂質の選択:
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オメガ3系脂肪酸(サバやイワシなどの青魚)やオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を積極的に摂取します。これらはLDLコレステロールや中性脂肪を下げる効果が期待できます。
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食物繊維の積極摂取:
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野菜、海藻、きのこ類などを積極的に摂り、食物繊維で腸内でのコレステロール吸収を抑制します。
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アルコールの制限:
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過度な飲酒は中性脂肪の増加に繋がるため、飲酒量を控えめにします。
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その他の生活習慣
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適度な運動: 有酸素運動(ウォーキングなど)を習慣化し、内臓脂肪を減らして脂質代謝を改善します。
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適正体重の維持: 肥満は脂質異常症を悪化させるため、体重コントロールが重要です。
3. 経過観察の正しい知識と頻度
胆嚢ポリープはサイズと形態によって観察頻度が異なります。自己判断で中断せず、必ず医師の指示に従いましょう。
| ポリープのサイズ | 推奨される経過観察頻度 | 目的 |
| 5mm以下 | 1年に1回 | サイズ変化や増大傾向がないか確認 |
| 5mm超〜10mm未満 | 6ヶ月〜1年に1回 | 10mmを超えたり、無茎性(根元が広い)に変化したりしないか厳重に監視 |
| 10mm超 | 手術適応の可能性大 | 外科的な治療(胆嚢摘出術)を検討 |
経過観察で確認すべきこと
経過観察の主な目的は、ポリープが「急激に大きくなっていないか」、または「形態が良性から悪性の疑いがあるもの(無茎性など)に変化していないか」を腹部エコーで確認することです。特に増大速度が年間2mm以上の場合は注意が必要です。
