胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)は、新生児に見られる深刻な肝臓疾患であり、早期の診断と治療が求められます。この疾患は、胆汁が肝臓から腸に流れる経路である胆道が閉塞または欠損していることによって引き起こされ、適切に治療しないと深刻な肝障害を引き起こす可能性があります。本記事では、胆道閉鎖症の症状、診断方法、治療法、予後などについて詳しく解説します。
胆道閉鎖症とは
胆道閉鎖症は、肝臓から腸へ胆汁を運ぶ胆道の異常により、胆汁の流れが阻害される疾患です。この疾患は通常、生後2〜3週間以内に症状が現れます。胆汁の流れが途絶えると、肝臓に胆汁が溜まり、黄疸(皮膚や眼の白い部分が黄色くなる)が現れます。胆道閉鎖症は新生児に多く見られ、早期に治療しないと肝不全や致命的な状況に至ることがあります。
胆道閉鎖症の症状
胆道閉鎖症の症状は、主に以下のようなものがあります。
症状 | 説明 |
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黄疸 | 新生児において、皮膚や目が黄色くなることが一般的な症状です。 |
便の色の変化 | 便が白っぽくなることがあり、これは胆汁の分泌が不足しているためです。 |
体重増加の遅れ | 適切な栄養吸収が難しくなるため、体重増加が遅れることがあります。 |
腹部膨満 | 肝臓が腫れ、腹部に膨満感が生じることがあります。 |
胆道閉鎖症の診断方法
胆道閉鎖症を早期に発見することは非常に重要です。診断には以下の方法が使用されます。
- 血液検査: 黄疸が続いている場合、血液中のビリルビンのレベルを測定し、胆道の閉塞を疑います。
- 腹部超音波検査: 肝臓や胆道の状態を確認するために行われる非侵襲的な検査です。
- 肝生検: もし超音波での診断が不明確な場合、肝臓の一部を取り出して検査します。
- 胆道造影検査: 胆道の状態を詳細に調べるための検査方法です。
胆道閉鎖症の治療法
胆道閉鎖症の治療は早期に行うことが肝心です。主な治療法は以下の通りです。
治療法 | 説明 |
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カスイ手術(肝外胆道吻合術) | 胆道閉鎖症の治療において最も一般的な手術で、胆道を再建し、胆汁の流れを改善します。 |
肝移植 | 手術で改善しない場合や肝不全が進行した場合、肝移植が必要となることがあります。 |
栄養管理 | 胆道が閉塞しているため、適切な栄養を確保するためのサポートが重要です。 |
胆道閉鎖症の予後
胆道閉鎖症の予後は、早期の発見と治療に大きく依存します。手術後に胆汁の流れが改善し、肝機能が正常に戻れば予後は良好ですが、治療が遅れると肝不全や慢性肝疾患に進行することがあります。また、肝移植を受けた場合でも、長期的に治療を受ける必要があります。
Q&A
Q1: 胆道閉鎖症はどのように予防できますか?
A1: 現在のところ、胆道閉鎖症を予防する方法は確立されていませんが、早期に診断して治療を行うことが重要です。
Q2: どのタイミングで病院に行くべきですか?
A2: 黄疸や便の色が白くなるなどの症状が現れた場合、すぐに医師に相談することが大切です。
Q3: 胆道閉鎖症の手術はどのくらいの年齢で行いますか?
A3: 一般的には生後2〜3ヶ月以内に手術が行われますが、症例によりタイミングは異なることがあります。
まとめ
胆道閉鎖症は早期の発見と適切な治療が予後を大きく左右する疾患です。症状が現れた場合には迅速に医療機関を受診し、診断と治療を受けることが重要です。カスイ手術や肝移植などの治療法が存在し、治療後の経過観察が必要です。親としては、常に新生児の状態に注意を払い、異常を感じた場合には速やかに医師に相談しましょう。