脊髄損傷(せきずいそんしょう)は、事故や病気によって脊髄が損傷を受けることで、運動機能や感覚、排泄機能などが損なわれる深刻な状態です。発症後の生活は大きく変わることもあり、早期の理解と対処が重要です。この記事では、脊髄損傷の原因、症状、治療法、リハビリ、そして実際の生活への影響まで詳しく解説していきます。
脊髄損傷とは?基本的な知識
脊髄損傷は、脊椎の中を通っている神経の束「脊髄」が損傷を受けることで生じます。損傷の程度や位置によって、運動障害や感覚麻痺などの症状が異なります。
損傷部位 |
影響する部位 |
頸髄(けいずい) |
首から下の全身、呼吸障害の可能性あり |
胸髄(きょうずい) |
胴体・下半身、体幹の安定性に影響 |
腰髄(ようずい) |
下半身、排尿・排便機能の障害 |
脊髄損傷の主な原因
脊髄損傷の原因はさまざまですが、特に以下のような外傷や疾患によって引き起こされます。
- 交通事故(自動車、バイク、自転車)
- 高所からの転落
- スポーツによる衝突や転倒
- 加齢による骨粗鬆症の進行
- 腫瘍や炎症による圧迫
脊髄損傷の主な症状と分類
損傷の程度によって、「完全損傷」と「不完全損傷」に分類されます。以下に特徴をまとめます。
分類 |
症状 |
完全損傷 |
損傷部位より下の運動・感覚が完全に消失 |
不完全損傷 |
一部の運動や感覚が残存している |
治療とリハビリの流れ
脊髄損傷の治療は、早期の安静と手術治療に加えて、長期的なリハビリテーションが重要です。
- 急性期治療:炎症の抑制、手術による安定化
- 回復期リハビリ:作業療法、理学療法、言語療法など
- 慢性期ケア:自立支援、日常生活への適応訓練
生活への影響と支援制度
脊髄損傷は日常生活に大きな影響を与えます。障害者手帳や各種制度の利用によって生活の質を保つことが可能です。
制度名 |
内容 |
身体障害者手帳 |
等級により介助や補助の対象に |
自立支援医療 |
医療費の自己負担軽減 |
障害年金 |
生活費の一部支援 |
脊髄損傷に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 脊髄損傷は完治しますか?
脊髄は再生能力が低いため、完全な回復は困難とされていますが、不完全損傷の場合は機能回復が見込まれることもあります。
Q2. 日常生活はどう変わりますか?
損傷レベルによって異なりますが、車椅子での移動や介助が必要になることがあります。環境のバリアフリー化や介助者の確保が大切です。
Q3. 脊髄損傷後の性生活は?
性機能にも影響がありますが、医療やカウンセリングの支援によって性生活の質を保つことが可能です。
まとめ:脊髄損傷と向き合うために
脊髄損傷は誰にでも起こり得る深刻な外傷です。しかし、早期の治療、適切なリハビリ、周囲の支援によって、生活の質を保つことは可能です。家族や専門家との連携を大切にし、自分らしい生活を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。
障害に関する正しい知識と、利用可能な支援制度の理解は、患者本人だけでなく家族や周囲にとっても非常に重要です。本記事がその一助となれば幸いです。