腹膜播種

がんの進行に伴い、腹膜にがん細胞が広がる「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」は、特に胃がんや大腸がん、卵巣がんなどで重要な病態です。この記事では、腹膜播種の概要から症状、診断、治療法、予後までを網羅的に解説し、正しい知識を持つことで適切な対応につなげることを目的としています。

腹膜播種とは?

腹膜播種とは、がん細胞が腹腔内に広がり、腹膜に多数の腫瘤(しゅりゅう)や結節を形成する状態を指します。これはがんの進行の一形態で、しばしば末期の兆候とされています。

主な原因となるがん 腹膜播種の頻度
胃がん 高い
大腸がん 中程度
卵巣がん 非常に高い
膵臓がん 中程度

腹膜播種の症状

腹膜播種の症状は多岐にわたりますが、以下のようなものが代表的です。

  • 腹部膨満感
  • 腹痛
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 腹水の貯留

これらの症状は進行に伴い悪化するため、早期発見・早期対応が重要です。

腹膜播種の診断方法

腹膜播種の診断には複数の方法が用いられます。以下の表に主な診断法をまとめます。

診断法 内容
CTスキャン 腹膜の肥厚や結節の有無を確認
超音波検査 腹水や腫瘤の確認
腫瘍マーカー CEAやCA125などの血中濃度測定
腹腔鏡検査 直接観察と組織採取が可能

腹膜播種の治療法

腹膜播種の治療には以下のような選択肢があります。

化学療法

全身化学療法が基本となります。最近では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の併用も検討されつつあります。

腹腔内化学療法(HIPEC)

腹腔内に温めた抗がん剤を注入し、腹膜表面のがん細胞を攻撃します。特に卵巣がんや大腸がんの一部で効果が見込まれます。

支持療法

痛みの緩和や腹水の除去、栄養管理など、生活の質(QOL)を維持するための治療も重要です。

腹膜播種の予後と生存率

腹膜播種の予後は一般的に不良とされますが、がんの種類や治療の反応によって大きく異なります。

がんの種類 平均生存期間
胃がん 6〜12か月
大腸がん 12〜24か月
卵巣がん 24〜36か月

新しい治療法の登場により、今後さらに改善される可能性があります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 腹膜播種は治りますか?

A. 完全に治癒することは難しいとされていますが、治療により症状の軽減や延命が可能です。

Q2. 腹水がたまる原因は何ですか?

A. 腹膜のがん細胞がリンパや血流を妨げることで腹水が貯留します。

Q3. 食事制限は必要ですか?

A. 基本的には栄養をしっかり取ることが重要ですが、消化にやさしい食事を心がけましょう。

Q4. 腹膜播種と診断されたらどの病院に行けばいいですか?

A. がんの専門治療が可能な大学病院やがんセンターなど、高度医療機関での治療が望ましいです。

まとめ

腹膜播種はがんの進行によって起こる深刻な状態ですが、近年の医療の進歩により、治療の幅は広がっています。早期の診断と適切な治療が鍵となるため、症状に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。

また、患者さんご本人だけでなくご家族や周囲の理解と支援も不可欠です。正しい知識を持って、前向きに治療と向き合っていくことが大切です。

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