蟯虫症とは?
蟯虫症とは、蟯虫(ぎょうちゅう)という寄生虫が人の腸内に寄生することによって起こる感染症です。蟯虫は主に小腸や大腸に生息し、夜間に肛門周囲に卵を産みつけることで、激しいかゆみなどの症状を引き起こします。
蟯虫症の原因と感染経路
原因となる蟯虫とは?
蟯虫(学名:Enterobius vermicularis)は体長1cm程度の白く細長い寄生虫です。主に人のみに寄生し、環境中でも卵が比較的長く生存できるという特性があります。
感染のしくみ
以下のような感染経路を通じて蟯虫は広がります。
- 感染者が肛門周囲を掻くことで手指に卵が付着
- その手で口に触れる(経口感染)
- 衣服、寝具、おもちゃなどから間接的に感染することも
感染経路 | 具体例 |
---|---|
直接感染 | 肛門を掻いた手で食べ物や口に触れる |
間接感染 | 寝具、衣服、おもちゃなどからの感染 |
蟯虫症の主な症状
感染初期は無症状なこともありますが、次第に以下のような症状が現れます。
- 夜間の肛門の強いかゆみ
- 寝つきの悪さや中途覚醒
- イライラ、集中力の低下
- 食欲不振、腹痛(まれ)
特に子どもに多く見られ、かゆみで夜眠れず、情緒が不安定になることがあります。
蟯虫症の検査と診断
セロファンテープ法
もっとも一般的な検査方法は「セロファンテープ法」です。朝起きた直後に肛門周囲にテープを貼り、卵の有無を顕微鏡で確認します。
検査の注意点
- 起床直後、排便・洗浄前に実施
- 3日連続で行うことで精度が向上
蟯虫症の治療方法
蟯虫症は駆虫薬の内服によって比較的簡単に治療できます。以下は代表的な薬剤です。
薬剤名 | 特徴 |
---|---|
ピランテルパモ酸塩 | 1回の服用で効果が期待できる。2週間後に再投与。 |
メベンダゾール | 卵から孵化した幼虫も駆除できる。妊婦は使用不可。 |
家族内感染の可能性が高いため、家族全員で同時治療することが推奨されます。
蟯虫症の予防策
再感染を防ぐには以下の衛生管理が欠かせません。
- 毎日の入浴と肛門周囲の洗浄
- 下着や寝具のこまめな洗濯(熱湯で殺卵)
- 爪を短く切る、手洗いの徹底
- トイレやおもちゃの定期的な消毒
Q&A:蟯虫症に関するよくある質問
Q1. 大人でも感染することはありますか?
A1. はい、あります。子どもから大人へと感染するケースもあるため、家族全体での対応が必要です。
Q2. 蟯虫症は自然に治りますか?
A2. 自然治癒することもありますが、長期間にわたって再感染を繰り返すことがあるため、治療が推奨されます。
Q3. 学校や保育園に通っても大丈夫ですか?
A3. 基本的に通園・通学は可能ですが、衛生管理と家庭での治療が行われていることが前提です。
まとめ
蟯虫症は子どもに多い感染症ですが、早期の発見と治療、家庭内での予防によって再感染や拡大を防ぐことができます。定期的な検査や手洗いの習慣づけを通じて、家族みんなで健康を守りましょう。