長期間の寝たきりや動けない状態が続くと、皮膚とその下の組織が圧迫され血流が悪くなり、やがて壊死してしまう「褥瘡(じょくそう)」。この記事では、褥瘡の原因、症状、予防法、治療方法などをわかりやすく解説します。
褥瘡(床ずれ)とは?
褥瘡とは、長時間の圧迫により皮膚や皮下組織が損傷することを指します。主にベッド上で長期間動けない高齢者や病気療養中の方に発生しやすく、早期発見とケアが非常に重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
医学的名称 | 褥瘡(じょくそう) |
一般名称 | 床ずれ |
主な原因 | 長時間の圧迫・摩擦・湿潤 |
好発部位 | 仙骨部、かかと、肘、耳の裏、肩甲骨など |
褥瘡の原因とリスク因子
褥瘡が起こる原因は「圧迫」「摩擦」「湿潤」の3つです。さらに、以下のような条件があると褥瘡リスクは高まります。
- 寝たきりで同じ姿勢を長時間続けている
- 栄養不良や脱水状態
- 失禁による皮膚の湿潤
- 糖尿病、血流障害
- 高齢による皮膚の脆弱性
褥瘡の分類と進行ステージ
褥瘡は進行度により4段階に分類されます。早期の対応が重症化を防ぐカギです。
ステージ | 症状の特徴 |
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ステージ1 | 皮膚が赤くなるが、破れていない |
ステージ2 | 皮膚の浅い損傷(水ぶくれや皮がむけた状態) |
ステージ3 | 皮膚が深く損傷し、脂肪層まで達する |
ステージ4 | 筋肉や骨にまで損傷が及ぶ重度の褥瘡 |
褥瘡の予防方法
予防は何よりも重要です。以下の方法で褥瘡の発生リスクを大きく下げることができます。
- 2時間おきの体位変換(ポジショニング)
- エアマットレスや体圧分散寝具の使用
- スキンケア:清潔保持と乾燥予防
- 栄養管理(たんぱく質、ビタミンC、亜鉛の摂取)
- 失禁管理:尿や便で皮膚がふやけるのを防ぐ
褥瘡の治療法とケアのポイント
褥瘡の治療には以下のような方法があります。段階によって処置内容が異なります。
- 洗浄と創傷ケア:生理食塩水などで傷口を清潔に保つ
- 外用薬の使用:ゲーベンクリーム、プロスタグランジン製剤など
- ドレッシング材:ハイドロコロイド、ウレタンフォームなど創傷被覆材の選択
- 外科的デブリードマン:壊死組織を除去する
- 栄養療法:高たんぱく高カロリー食の提供
Q&A:褥瘡に関するよくある質問
Q1. 褥瘡は1日でできることもありますか?
A1. はい。圧迫が強く、血流が途絶える状況ではわずか数時間で発症することもあります。
Q2. 自宅でも褥瘡の予防はできますか?
A2. もちろん可能です。体位変換、マットレス選び、スキンケア、栄養管理などが自宅ケアのカギです。
Q3. 痛みはありますか?
A3. 初期段階では痛みを伴うこともありますが、神経まで損傷している場合は痛みを感じにくいこともあります。
まとめ:褥瘡は予防と早期対処がカギ
褥瘡は一度できてしまうと治療に時間がかかり、QOL(生活の質)を著しく低下させる可能性があります。しかし、適切な予防とケアによりその多くは防ぐことができます。ご家族や介護者は、定期的な観察と適切なケアを心がけましょう。
医療機関や訪問看護師と連携し、症状の変化に早く気づくことが重症化を防ぐ第一歩です。