朝起きられない、立ち上がるとフラつく…そんな症状に悩んでいませんか?それはもしかすると「起立性調節障害(OD)」かもしれません。特に思春期の子どもたちに多く見られるこの病気は、心の問題と誤解されやすく、正しく理解されていないことが多いのが現状です。本記事では、起立性調節障害の原因・症状・診断方法・治療法までをわかりやすく解説します。
起立性調節障害とは?
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation、略称OD)は、自律神経の働きに異常が生じ、体位変化にうまく適応できなくなることで発症する疾患です。特に思春期の小中学生に多く見られ、男子よりも女子にやや多い傾向があります。
起立性調節障害の主な症状
起立性調節障害の症状は多岐にわたりますが、主に以下のような症状が現れます。
主な症状 | 具体例 |
---|---|
朝起きられない | アラームを何度鳴らしても起きられない、午前中は活動できない |
立ちくらみ・めまい | 急に立ち上がるとフラつく、視界が暗くなる |
動悸・息切れ | 階段を上がると心拍数が異常に上がる |
倦怠感 | 常に体がだるく、学校に行けない |
頭痛・吐き気 | ストレスや疲れによって悪化することも |
起立性調節障害の原因とは?
起立性調節障害は、自律神経の調整不良によって起こると考えられています。自律神経は、心拍数、血圧、体温調節などを司っており、以下の要因によってバランスが乱れると症状が現れます。
- 思春期の急激な成長によるホルモンバランスの変化
- 睡眠不足や生活習慣の乱れ
- ストレスや心理的要因
- 過度なスマートフォン・ゲーム使用
起立性調節障害の診断方法
ODは身体的な異常が見つかりにくいため、診断には詳細な問診と以下のような検査が必要です。
診断方法 | 内容 |
---|---|
新起立試験 | 10分間仰向け→10分間立位で心拍・血圧を測定 |
問診 | 生活状況・学校生活・家族関係など |
心理テスト | ストレス・うつ傾向の評価 |
起立性調節障害の治療法・対処法
ODの治療は、生活習慣の見直しから始まり、必要に応じて薬物療法が行われます。
1. 生活習慣の改善
- 起床・就寝時間を一定に保つ
- 朝食をしっかり摂る
- 水分・塩分の摂取を増やす
- 適度な運動(スクワット・ウォーキング)
2. 薬物療法(必要に応じて)
- 昇圧剤(ミドドリンなど)
- 自律神経調整薬
3. 学校や家庭の理解
周囲の理解が不十分だと「怠けている」「仮病だ」と誤解されがちです。本人の心を守るためにも、保護者や学校と連携することが重要です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 起立性調節障害は怠け病ですか?
A. いいえ、決して怠けではありません。医学的な原因があるれっきとした病気です。適切な理解と対応が必要です。
Q2. 学校に行けないときはどうすればいい?
A. 無理に登校することが逆効果の場合もあります。医師と相談の上、保健室登校や通学時間の調整を行いましょう。
Q3. 大人になったら治るの?
A. 多くの場合、成長とともに症状が改善しますが、生活習慣が乱れていると長引くケースもあります。
起立性調節障害の子どもを持つ親御さんへ
お子さんの変化に気づいたら、「怠けている」と決めつけず、まずは医療機関に相談しましょう。親の無理解が、子どもの自己肯定感を著しく下げてしまうこともあります。本人の「しんどさ」に寄り添うことが何よりの治療になります。
まとめ
起立性調節障害は、思春期の子どもに多く発症する自律神経の障害です。朝起きられない、立ちくらみがある、頭が痛いといった症状があっても、周囲の理解がなければ苦しみは増してしまいます。正しい知識を持ち、医療機関を受診し、生活習慣を見直すことで、多くの子どもたちは回復へと向かいます。
大切なのは、「気のせい」や「怠け」と決めつけず、まず理解すること。この記事が、あなたやご家族の助けになれば幸いです。