最近、通勤電車の中や会議中など、ストレスを感じる場面でお腹が痛くなったり、下痢や便秘を繰り返したりすることはありませんか？その症状、もしかすると「
過敏性腸症候群（IBS）」かもしれません。この記事では、IBSの原因や症状、治療法、予防法について、わかりやすく解説します。
過敏性腸症候群（IBS）とは？
過敏性腸症候群（IBS：Irritable Bowel Syndrome）とは、腸に器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘などの消化器症状が慢性的に続く疾患です。ストレスや生活習慣の乱れが関係していると考えられており、20代〜40代の働き盛り世代に多く見られます。
過敏性腸症候群の主な症状
IBSの症状は大きく以下の4タイプに分類されます。
| タイプ |
主な症状 |
| 下痢型 |
急な腹痛とともに水様便が頻繁に出る |
| 便秘型 |
排便が困難で、コロコロとした便が出る |
| 混合型 |
下痢と便秘を交互に繰り返す |
| 分類不能型 |
上記のいずれにも明確に分類できない症状 |
原因とメカニズム
IBSの正確な原因はまだ解明されていませんが、以下のような要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
- ストレス：脳と腸は密接に関係しており、精神的ストレスが腸の働きに影響を与えます。
- 自律神経の乱れ：交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、腸の動きが過敏になります。
- 腸内環境の変化：腸内細菌のバランスが乱れることで、ガスや便の異常が生じます。
- 食生活の偏り：脂質の多い食事やアルコール、カフェインの摂取が影響します。
診断方法と検査
IBSの診断は主に症状に基づいて行われ、他の病気（炎症性腸疾患、感染症、腫瘍など）を除外することが重要です。
代表的な診断基準には以下があります：
- ローマⅣ基準：過去3か月間に、月に少なくとも1回の腹痛があり、以下の2つ以上に該当すること
- 排便と関連している
- 排便頻度の変化がある
- 便形状の変化がある
治療方法
IBSの治療は、症状のタイプや重症度に応じて異なります。主に以下の方法が用いられます。
| 治療法 |
内容 |
| 食事療法 |
食物繊維の摂取、FODMAP制限、発酵食品の利用など |
| 薬物療法 |
整腸剤、下痢止め、便秘薬、抗不安薬など |
| 心理療法 |
認知行動療法、ストレスマネジメント |
| 運動療法 |
ウォーキングやヨガなど軽い運動 |
過敏性腸症候群の予防と生活習慣の改善
IBSの予防には、日々の生活習慣を見直すことが重要です。以下のポイントを参考にしましょう。
- バランスの取れた食事（食物繊維、乳酸菌の摂取）
- 十分な睡眠と規則正しい生活
- ストレスの軽減（趣味や休息時間を持つ）
- 軽い運動の継続（1日30分のウォーキングなど）
- カフェイン・アルコールの摂取を控える
よくある質問（Q&A）
Q1. 過敏性腸症候群は治りますか？
完全に「治る」と言い切ることは難しいですが、生活改善や薬物療法によって症状をコントロールすることは十分可能です。
Q2. IBSはうつ病などの精神疾患と関係がありますか？
はい。IBS患者の中には、不安障害やうつ症状を併発している人も多く、精神面のケアが重要です。
Q3. 市販薬で改善できますか？
軽度の症状であれば整腸剤や市販の下痢止めで一時的に症状を和らげることができますが、根本的な改善には医師の診断を受けることをおすすめします。
まとめ
過敏性腸症候群は、命に関わる病気ではありませんが、日常生活の質（QOL）を大きく損なう可能性があります。自分の体のサインに気づき、早めの対応を心がけましょう。特にストレスや食生活の改善は効果的な対策です。気になる症状があれば、医師に相談することが大切です。
生活習慣を整えることで、IBSの症状は大きく改善できます。この記事を参考に、ぜひ今日からできる対策を始めてみてください。
