重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、日本を含む東アジア地域で確認されている致死率の高いウイルス感染症です。マダニによって媒介され、発症すると高熱や血小板減少、意識障害などの深刻な症状を引き起こすことがあります。この記事では、SFTSの症状や感染経路、致死率、予防法などを専門的かつ分かりやすく解説し、日常での対策方法もご紹介します。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは?
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、SFTSウイルス(SFTSV)によって引き起こされるウイルス性の感染症です。このウイルスはブニヤウイルス科に属し、2011年に中国で初めて報告されました。
日本では2013年に初めての感染が確認され、毎年西日本を中心に発症例が報告されています。
SFTSの主な症状
感染から発症までの潜伏期間はおよそ6日〜14日です。主な症状は以下の通りです。
症状 | 詳細 |
---|---|
発熱 | 38度以上の高熱が続く |
消化器症状 | 嘔吐、下痢、腹痛など |
血小板減少 | 内出血や皮下出血のリスクが高まる |
白血球減少 | 免疫力が低下し、二次感染の危険性がある |
意識障害 | 重症化に伴い昏睡状態になることも |
SFTSの感染経路と感染源
SFTSウイルスは主にマダニによって媒介されます。以下のような経路で感染します。
- マダニに咬まれることで感染(最も一般的な経路)
- 感染動物(猫・犬・イノシシなど)との濃厚接触
- 感染者の血液や体液への直接接触(極めて稀)
特に春から秋にかけては、草むらや森林での活動が増えるため、マダニの被害が多くなります。
SFTSの致死率と日本国内の状況
厚生労働省によると、SFTSの致死率はおよそ10~30%と報告されています。特に高齢者や基礎疾患を持つ方は重症化のリスクが高く、注意が必要です。
年度 | 日本国内の報告数 | 死亡者数 |
---|---|---|
2021年 | 60人 | 16人 |
2022年 | 80人 | 18人 |
2023年 | 92人 | 24人 |
報告数は年々増加傾向にあり、西日本(九州・四国・中国地方)での感染が目立ちます。
予防方法と日常での対策
SFTSには現時点で有効なワクチンや特効薬が存在しません。そのため、予防が最も重要です。
- 山や草むらに入る際は長袖・長ズボン・帽子などを着用
- マダニ忌避剤(ディートやイカリジン)を使用
- 屋外活動後はすぐにシャワーを浴び、マダニが付いていないか確認
- ペット(特に猫・犬)にもノミ・ダニ予防対策を
よくある質問(Q&A)
- Q. SFTSは人から人に感染しますか?
- A. 通常は人から人への感染はありませんが、血液や体液への接触があった場合は注意が必要です。
- Q. マダニに咬まれたらすぐ病院に行くべき?
- A. マダニに咬まれたら、無理に取らず医療機関で処置を受けるのが望ましいです。
- Q. SFTSはどの地域で多いの?
- A. 日本では九州・中国・四国地方での報告が多く、特に高齢者の感染が目立ちます。
まとめ
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニによって媒介される非常に危険なウイルス感染症です。致死率が高く、特効薬も存在しないため、感染予防が何よりも重要です。屋外での活動が多くなる季節には、服装やマダニ対策をしっかりと行いましょう。
また、発熱や体調不良が見られた場合は、早めに医療機関を受診することが命を守ることにつながります。
自然を楽しむときは「予防が最大の防御」です。