鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、特に女性に多く見られる貧血の一種で、体内の鉄分が不足することにより発症します。疲れやすさやめまいなどの症状が現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。本記事では、鉄欠乏性貧血の原因や症状、診断方法、治療法、予防策について詳しく解説します。

鉄欠乏性貧血とは

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することにより、赤血球中のヘモグロビンが十分に生成されず、酸素を全身に運ぶ能力が低下する状態を指します。貧血の中でも最も一般的なタイプであり、特に月経のある女性や妊娠中の女性に多く見られます。

主な原因

鉄欠乏性貧血の主な原因は以下の通りです。

  • 鉄分の摂取不足:偏った食生活や極端なダイエットによる鉄分の摂取不足。
  • 鉄分の吸収障害:消化器系の疾患(例:胃潰瘍、胃がん、大腸がん)による鉄分の吸収障害。
  • 鉄分の喪失:月経過多や消化管出血などによる慢性的な出血。
  • 鉄分の需要増加:妊娠や成長期など、体が通常より多くの鉄分を必要とする状態。

症状

鉄欠乏性貧血の症状は多岐にわたりますが、以下のような症状が一般的です。

  • 疲れやすい、倦怠感
  • めまい、立ちくらみ
  • 動悸、息切れ
  • 頭痛、集中力の低下
  • 顔色が青白い
  • 爪が割れやすい、舌炎

診断方法

鉄欠乏性貧血の診断には、以下の血液検査が行われます。

検査項目 正常値 鉄欠乏性貧血の特徴
ヘモグロビン(Hb) 男性:13g/dL以上
女性:12g/dL以上
低下
平均赤血球容積(MCV) 80~100 fL 低下(小球性)
血清フェリチン 男性:30~300 ng/mL
女性:10~200 ng/mL
低下
血清鉄 60~180 μg/dL 低下
総鉄結合能(TIBC) 250~400 μg/dL 上昇

治療法

鉄欠乏性貧血の治療には、以下の方法があります。

  1. 鉄剤の投与:経口鉄剤(例:フェロミア)を1日1~2錠服用します。副作用として、胃の不快感や便秘、吐き気などが現れることがありますが、通常は1~2週間で改善します。
  2. 食事療法:鉄分を多く含む食品(レバー、赤身の肉、ほうれん草など)を積極的に摂取します。ビタミンCを一緒に摂ることで、鉄の吸収が促進されます。
  3. 原因疾患の治療:出血の原因となる疾患(例:子宮筋腫、胃潰瘍)の治療を行います。

予防策

鉄欠乏性貧血を予防するためには、以下の点に注意しましょう。

  • バランスの良い食事:鉄分を多く含む食品を意識的に摂取します。
  • 定期的な健康診断:特に女性は、定期的に血液検査を受けて、早期に鉄不足を発見しましょう。
  • 過度なダイエットの回避:極端な食事制限は避け、必要な栄養素をしっかりと摂取します。

よくある質問(Q&A)

Q1. 鉄剤を服用すると便が黒くなるのは正常ですか?
A1. はい、鉄剤の服用により便が黒くなることがありますが、これは鉄が消化管で酸化されるためであり、特に問題はありません。
Q2. 鉄欠乏性貧血は自然に治りますか?
A2. 軽度の場合は食事の改善で改善することもありますが、多くの場合、医師の指導のもとで鉄剤の投与が必要です。
Q3. 妊娠中に鉄欠乏性貧血になると胎児に影響がありますか?
A3. はい、妊娠中の鉄欠乏性貧血は、早産や低出生体重児のリスクを高める可能性があります。医師の指導のもと、適切な治療を受けることが重要です。

まとめ

鉄欠乏性貧血は、日常生活に支障をきたす可能性のある一般的な疾患です。早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。特に女性や成長期の子供、妊娠中の方は、鉄分の摂取に注意し、定期的な健康診断を受けることが大切です。

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