食事で治す:逆流性食道炎の食事療法

逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。食事管理は、薬物療法と並ぶ重要な治療の柱です。

1. 逆流性食道炎を悪化させる危険な食べ物

これらの食べ物は、主に以下の3つのメカニズムで逆流を引き起こし、症状を悪化させます。

  1. 胃酸の分泌を増やす:逆流する胃酸の量が増える。
  2. 下部食道括約筋(LES)を緩める:食道と胃の境目にある筋肉が緩み、逆流しやすくなる。
  3. 食道粘膜を直接刺激する:炎症を起こしている食道の粘膜をさらに刺激する。
危険な食べ物 影響のメカニズム
脂肪分の多い食品 LESを緩める。特に揚げ物、バラ肉、脂身の多い肉、生クリーム、チョコレートなど。消化に時間がかかり、胃酸が長時間滞留する。
酸味の強い食品 胃酸の分泌を増やし、食道を刺激。柑橘類(レモン、オレンジ、グレープフルーツなど)、お酢、トマト製品(トマトソース、ケチャップなど)。
刺激物 胃酸の分泌を増やし、食道を直接刺激。香辛料(唐辛子、ワサビ、胡椒)、炭酸飲料、アルコール(特にビールやワイン)。
カフェイン LESを緩め、胃酸の分泌を促す。コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど。
過度な甘いもの 特に食後の甘いものは胃酸の分泌を促しやすい。

2. 症状を和らげる3つの食材リスト

症状を和らげる食材は、主に「胃酸を中和・吸着する」「粘膜を保護する」「消化に優しく胃に負担をかけない」という働きがあります。

1. 粘膜保護と胃酸中和を助ける食材

食材 働き 補足
キャベツ ビタミンU(キャベジン)が胃粘膜の修復を促進し、胃酸を抑制する作用がある。 生で食べるよりも、柔らかく煮たり蒸したりして食べるほうが、胃への負担が少ないです。
山芋・オクラ 粘り成分(ムチン)が胃壁や食道の粘膜を保護する役割を果たす。 消化にも良く、胃腸に優しい食材です。

2. 消化に優しく胃に負担をかけない食材

食材 働き 補足
豆腐・白身魚 低脂肪で良質なタンパク源。肉の脂身と比べて消化が良く、胃に負担をかけにくい。 調理法は、煮る、蒸す、茹でるなど、油を使わないものが基本です。
米(お粥) 胃酸を薄め、胃に長くとどまらず消化が早い。胃に優しい主食の代表。 麺類よりも米飯、特にやわらかいお粥が推奨されます。

3. 胃酸を吸着・中和する食材

食材 働き 補足
バナナ 胃酸を中和する作用があり、手軽に摂れるアルカリ性の食品 空腹時の軽食として適していますが、熟しすぎたものは避ける方が良い場合もあります。
大根・かぶ ジアスターゼなどの消化酵素を多く含み、消化を助ける。 加熱して柔らかくするとさらに消化しやすくなります。

これらの食材を積極的に取り入れつつ、「食べすぎない」「食後すぐに横にならない」「就寝前2~3時間は食事をしない」といった生活習慣を組み合わせることで、逆流性食道炎の症状を効果的にコントロールできます。