高血圧症は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれ、自覚症状が乏しいまま進行し、気づいたときには命に関わる合併症を引き起こすことがあります。本記事では、高血圧症の原因・症状・予防法・治療法について詳しく解説し、日常生活でできる対策も紹介します。ご自身やご家族の健康を守るためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
高血圧症とは?その定義と分類
高血圧症とは、血圧が正常範囲を超えて持続的に高い状態を指します。日本高血圧学会の基準によると、以下のように分類されます。
分類 | 収縮期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) |
---|---|---|
正常血圧 | 120未満 | 80未満 |
高値血圧 | 120~129 | 80未満 |
Ⅰ度高血圧 | 140~159 | 90~99 |
Ⅱ度高血圧 | 160~179 | 100~109 |
Ⅲ度高血圧 | 180以上 | 110以上 |
特に、Ⅰ度以上の高血圧が長期間続くと、動脈硬化をはじめとする様々な合併症のリスクが高まります。
高血圧症の主な原因とリスクファクター
高血圧の原因は大きく「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分かれます。日本人の約9割は本態性高血圧とされ、明確な原因は不明ですが、生活習慣や遺伝が関係しています。
- 塩分の過剰摂取:ナトリウムは血圧を上昇させる要因になります。
- 運動不足:血流が滞りやすくなり、心臓に負担がかかります。
- 肥満:特に内臓脂肪型肥満は高血圧と強い関係があります。
- ストレス:交感神経が刺激され、血圧が上昇します。
- 喫煙・過度な飲酒:血管の収縮を促し、高血圧を悪化させます。
高血圧症の症状と怖い合併症
高血圧症は多くの場合、自覚症状がありませんが、進行すると以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
- 脳卒中:脳出血や脳梗塞のリスクが上昇。
- 心筋梗塞・狭心症:冠動脈が狭くなり、心臓にダメージ。
- 慢性腎臓病(CKD):腎機能が低下し、最悪の場合人工透析が必要に。
- 動脈瘤・大動脈解離:血管が破裂する危険があります。
早期発見・早期治療が、これらの合併症を防ぐカギとなります。
高血圧を予防・改善する生活習慣とは?
高血圧の予防や改善には、生活習慣の見直しが非常に重要です。以下のポイントを実践しましょう。
改善ポイント | 具体的な対策 |
---|---|
食事 | 減塩(1日6g未満)、野菜や果物を多くとる、バランスの良い食事 |
運動 | 1日30分程度の有酸素運動(ウォーキングなど) |
体重管理 | BMI25未満を目指す |
禁煙・節酒 | たばこを控える、飲酒は適量に |
ストレス管理 | リラクゼーションや趣味の時間を大切にする |
治療法と薬物療法の選択肢
生活習慣の改善だけでは効果が不十分な場合、医師による薬物療法が行われます。主な降圧薬には以下の種類があります。
- ACE阻害薬・ARB:血管を拡張させて血圧を下げます。
- カルシウム拮抗薬:血管の緊張を和らげます。
- 利尿薬:体内の余分な水分や塩分を排出します。
- β遮断薬:心拍数を抑えて心臓への負担を軽減。
医師の指示に従い、自己判断での服薬中止は絶対に避けましょう。
よくある質問(Q&A)
- Q1. 高血圧でも症状がなければ放置してもよいですか?
- A1. 症状がなくても血管や臓器へのダメージは進行しています。必ず医師に相談しましょう。
- Q2. 減塩食品を使えばすぐに血圧は下がりますか?
- A2. 継続が重要です。食生活の改善は数週間から数か月かけて効果が出てきます。
- Q3. 若い人でも高血圧になりますか?
- A3. 近年では20代・30代の若年層にも増えており、早期対策が求められています。
まとめ|高血圧症は「予防」と「継続」がカギ
高血圧症は、放置すると命に関わる重大な合併症を招く可能性があります。ですが、日々の生活習慣を見直し、医師と連携しながら適切な対策を行えば、コントロールは十分に可能です。
まずは自分の血圧を知ることから始めましょう。そして、減塩・運動・禁煙など、自分にできることからコツコツと取り組むことが大切です。健康寿命を延ばすためにも、「高血圧=他人事」と思わず、今日から行動に移しましょう。