高血圧網膜症とは、高血圧が原因で網膜に異常が起こる病気です。自覚症状がないまま進行することが多く、放置すると失明のリスクもあります。本記事では、高血圧網膜症の原因や症状、診断方法、治療法、予防法について、図表やQ&Aを交えてわかりやすく解説します。
高血圧網膜症とは?
高血圧網膜症は、長期間にわたる高血圧によって目の奥にある「網膜」の血管にダメージが加わる疾患です。網膜は光を感じる重要な組織であり、血流の異常が視力低下や視野欠損を引き起こす原因となります。
高血圧網膜症の進行段階
段階 | 主な変化 | 特徴 |
---|---|---|
Ⅰ度 | 血管の狭窄 | 軽度の動脈収縮。自覚症状なし。 |
Ⅱ度 | 動静脈交叉異常 | 動脈が静脈を圧迫する。 |
Ⅲ度 | 出血・軟性白斑 | 視覚障害が出ることも。 |
Ⅳ度 | 乳頭浮腫 | 緊急治療が必要な重症。 |
高血圧網膜症の原因
高血圧網膜症は、以下のような原因によって引き起こされます。
- 長期間の高血圧放置
- 糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病との合併
- 腎臓疾患による血圧コントロール不良
- ストレス・運動不足・食生活の乱れ
特に収縮期血圧(上の血圧)が160mmHg以上を長期間維持している方は、眼底に変化が現れやすくなります。
高血圧網膜症の症状
高血圧網膜症は初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし進行すると以下のような症状が見られます:
- 視力低下
- 視野に黒い点が見える(飛蚊症)
- 物がゆがんで見える(変視症)
- 光がまぶしく感じる
特にⅢ度以上になると出血や浮腫が現れ、視覚に明らかな異常が出る場合があります。
診断と検査方法
高血圧網膜症は主に眼科で行う「眼底検査」で診断されます。
代表的な検査方法:
- 眼底カメラ:網膜の状態を写真で記録
- 蛍光眼底造影検査:血流異常を詳細に確認
- OCT(光干渉断層計):網膜の厚さやむくみを確認
また、血圧測定や血液検査による全身状態のチェックも重要です。
高血圧網膜症の治療法
高血圧網膜症の治療は、血圧コントロールが最も基本です。眼科での処置と内科的管理の両面からのアプローチが必要です。
主な治療方法:
- 降圧薬の服用:カルシウム拮抗薬・ACE阻害薬など
- レーザー治療:網膜出血や血管閉塞の対応
- 抗VEGF薬の注射:浮腫や新生血管を抑制
- 生活習慣改善:塩分制限・運動・禁煙
予防法と早期発見のポイント
高血圧網膜症を予防するには、日頃の健康管理が不可欠です。
予防のためのチェックリスト:
- 定期的な血圧測定(自宅血圧計を活用)
- 年1回の眼底検査を受ける
- バランスの取れた食生活(減塩・野菜中心)
- 適度な有酸素運動(ウォーキングなど)
- ストレスマネジメント
特に高血圧と診断された方は、早期から眼科受診を習慣にすることが大切です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 高血圧網膜症は治りますか?
A. 完治は難しいですが、早期発見で進行を止めることができます。血圧を適切にコントロールすることが重要です。
Q2. 網膜症になると失明しますか?
A. 進行すれば失明のリスクがありますが、初期の段階であれば視力に影響を及ぼさない場合も多いです。
Q3. 自分で気づくことはできますか?
A. 初期は自覚症状がほぼないため、自分で気づくことは難しいです。定期的な眼科検診が唯一の方法です。
まとめ
高血圧網膜症は、日常生活に潜む「沈黙の疾患」の一つです。高血圧を放置すると、網膜の血管にダメージが蓄積され、視覚に深刻な影響を与える可能性があります。
この記事のポイントをおさらいすると:
- 高血圧網膜症は初期に自覚症状が少ない
- 血圧管理と定期的な眼底検査が重要
- 進行すれば視力低下・失明のリスクも
- 生活習慣の改善が最大の予防策
目の健康は全身の健康のバロメーター。ぜひ今日からできる予防を始めてみましょう!