鼓膜穿孔（こまくせんこう）とは、鼓膜に穴があく、あるいは破れてしまった状態を指します。耳鳴りや難聴、耳だれなどの症状を引き起こすことがあり、原因も外傷や感染症などさまざまです。本記事では鼓膜穿孔の基礎知識から、原因、症状、診断方法、治療法、予防策までを詳しく解説します。
鼓膜穿孔とは？その基本を理解しよう
鼓膜穿孔とは、鼓膜（中耳と外耳の境界にある薄い膜）に穴が開く状態を指します。この穿孔によって音の伝達が妨げられ、聴力の低下や感染のリスクが高まります。
鼓膜穿孔の主な原因
鼓膜が破れる原因は多岐にわたります。以下の表で主な原因を整理しましょう。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 外傷性穿孔 | 綿棒や爪などの異物で鼓膜を傷つける |
| 気圧の変化 | 飛行機やダイビングなどで急激な気圧差が生じた場合 |
| 中耳炎 | 感染による膿の圧力で鼓膜が破れる |
| 爆風や大音量 | 爆発音や強烈な衝撃波で鼓膜が損傷 |
鼓膜穿孔の症状とは？見逃してはいけないサイン
鼓膜が穿孔すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 耳の痛み（外傷性の場合、急激に生じる）
- 難聴（軽度〜中等度）
- 耳鳴り
- 耳だれ（中耳炎による場合）
- めまい（稀にあり）
症状の程度は穿孔の大きさや原因によって異なります。痛みが消えたからといって放置せず、早めの受診が推奨されます。
鼓膜穿孔の診断と検査方法
耳鼻咽喉科を受診すると、以下のような検査が行われます。
| 検査名 | 内容 |
|---|---|
| 耳鏡検査 | 耳鏡を使って鼓膜を直接観察 |
| 聴力検査 | 気導・骨導聴力を測定し、聴力低下の程度を確認 |
| ティンパノメトリー | 鼓膜の動きを調べる検査 |
| CT検査（必要時） | 中耳内の詳細な構造を画像で確認 |
鼓膜穿孔の治療法｜自然治癒から手術まで
治療方法は穿孔の大きさ・原因・症状の程度により異なります。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 自然治癒 | 小さな穿孔の場合、1〜2か月で自然にふさがることも |
| 抗生物質の投与 | 感染予防・中耳炎の治療のため |
| 鼓膜形成術（ティンパノプラスティ） | 穿孔が自然に治癒しない場合、手術で修復 |
| 鼓膜パッチ | 穿孔部にコラーゲンパッチを貼って再生を促す |
鼓膜穿孔の予防と日常生活の注意点
鼓膜穿孔は適切なケアで予防することも可能です。
- 耳かきや綿棒を奥まで入れない
- 中耳炎を放置せず早めに治療
- 飛行機やダイビング時には耳抜きを意識
- 爆音や強い音から耳を守る（イヤーマフなど）
Q&A｜鼓膜穿孔に関するよくある質問
Q1. 鼓膜穿孔は放置しても大丈夫？
A. 小さい穿孔は自然治癒する場合もありますが、感染や聴力低下を引き起こす可能性があるため、放置せず医療機関での診察を受けましょう。
Q2. 鼓膜が破れたら水に入ってはいけませんか？
A. はい、水が中耳に入ると感染リスクが高くなるため、プールや入浴時には耳栓をするか濡らさないよう注意が必要です。
Q3. 鼓膜形成手術は保険適用されますか？
A. 鼓膜形成術（ティンパノプラスティ）は医師が必要と判断した場合、保険適用されます。詳しくは医療機関にご相談ください。
まとめ｜鼓膜穿孔は早期発見・早期対応がカギ
鼓膜穿孔は誰にでも起こりうる疾患ですが、正しい知識と早めの対応があれば深刻な影響を防ぐことができます。外傷や中耳炎に注意し、耳の異変を感じた際は自己判断せず耳鼻科の診断を受けましょう。
特に繰り返す中耳炎や耳に違和感を感じた際には早めに医師へ相談することが、将来的な聴力の保護につながります。
