精巣上体炎(別名:副睾丸炎)は、男性特有の泌尿器疾患の一つで、突然の陰嚢の痛みや腫れを引き起こすことがあります。本記事では、精巣上体炎の原因、症状、診断方法、治療法、予防法などを包括的に解説します。もし陰部に違和感がある方や、再発を繰り返してお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。
精巣上体炎とは?
精巣上体炎(せいそうじょうたいいん)とは、精巣の後ろにある管状の組織「精巣上体(副睾丸)」に炎症が起きる病気です。男性の生殖機能に関わる重要な器官であるため、早期発見・早期治療が求められます。
主な特徴
- 片側の陰嚢の急激な腫れ・痛み
- 発熱や排尿時の違和感
- 精液に血が混ざることもある
精巣上体炎の原因
原因は年齢や性活動の有無によって異なります。
原因 | 詳細 |
---|---|
細菌感染 | 尿道や前立腺から逆行性に感染。大腸菌やクラミジアなど。 |
性感染症(STD) | クラミジアや淋菌によるものが多く、20~40代に多い。 |
非感染性の炎症 | 薬剤性や長時間の自転車運転などによる物理的な刺激。 |
ウイルス性 | おたふく風邪(ムンプス)が原因で精巣炎と同時に発症することがある。 |
精巣上体炎の主な症状
初期段階では違和感程度ですが、急速に悪化することがあります。
- 陰嚢の腫れと痛み(片側)
- 発熱(38度以上が多い)
- 頻尿や排尿痛
- 陰嚢が赤くなる(発赤)
- 精液や尿に血が混ざる
特に、痛みが片側に限局していて陰嚢が重く感じる症状が特徴的です。
診断方法と検査
泌尿器科では次のような方法で診断されます。
- 問診・触診:痛みの部位、性行為歴、排尿状況の確認
- 尿検査:白血球や細菌の有無を確認
- 超音波検査(エコー):精巣捻転との鑑別に重要
- 血液検査:炎症反応(CRP、白血球数)を測定
注意:精巣捻転と精巣上体炎は初期症状が似ており、誤診すると精巣壊死のリスクがあるため、緊急対応が必要な場合があります。
精巣上体炎の治療法
原因によって治療方針が異なりますが、主に以下の方法が取られます。
治療内容 | 詳細 |
---|---|
抗生物質の投与 | 細菌性の場合、レボフロキサシンやセフェム系抗生物質が使われる。 |
鎮痛剤 | ロキソプロフェンなどのNSAIDsで痛みと炎症を抑える。 |
安静と冷却 | 陰嚢を持ち上げる、冷却パックで症状を和らげる。 |
性感染症の治療 | パートナーも同時に治療することが再発予防になる。 |
再発・合併症に注意
再発を繰り返すと、以下のようなリスクがあります。
- 慢性精巣上体炎:痛みが持続し、精管の癒着を起こす
- 不妊症:精子の通り道が塞がれ、精子の輸送障害が起きる
- 精巣萎縮:長期間の炎症による萎縮
再発予防には、性感染症の予防と排尿障害の治療が重要です。
Q&A:よくある質問
- Q. 精巣上体炎は自然に治ることはありますか?
- A. 軽度の場合は自然軽快することもありますが、放置すると悪化するため、医療機関での治療が必要です。
- Q. 精巣上体炎と精巣捻転の違いは?
- A. 精巣捻転は血流遮断による緊急手術が必要。精巣上体炎は細菌感染が多く、抗生剤で治療します。どちらも緊急で受診を。
- Q. パートナーも治療が必要?
- A. クラミジアや淋菌が原因の場合、再感染を防ぐためにもパートナーも検査・治療が必要です。
- Q. どの科を受診すれば良いですか?
- A. 泌尿器科が専門です。お近くの泌尿器科クリニックまたは総合病院を受診してください。
まとめ:早期対応で将来のリスクを回避
精巣上体炎は、放置すると不妊の原因にもなり得る重大な疾患です。痛みや腫れを感じたら、恥ずかしがらずにすぐに泌尿器科を受診することが最善です。特に若年層では性感染症が原因となることも多いため、予防と定期的な検査が重要です。
- 早期発見・早期治療がカギ
- 性感染症の予防とパートナーへの配慮
- 再発や合併症の回避には生活習慣の見直しが必要
気になる症状があれば、すぐに医療機関へ。自分の健康を守ることは、将来のパートナーや家族を守ることにもつながります。