1. 大人のADHDとは?生活に現れる困りごと
ADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性が、社会生活や日常生活に困難をもたらしている状態を指します。大人になってから診断されるケースが増えており、「生きづらさ」の根本的な原因となっていることがあります。
| 特性 | 大人のADHDに現れやすい困りごと |
| 不注意 | 仕事や約束のミスが多い、スケジュール管理ができない、片付けが苦手、人の話を最後まで聞けない、物をすぐ失くす。 |
| 多動性 | 落ち着きがない、貧乏ゆすりが多い、長時間座っていられない、つい話に割り込んでしまう(衝動性と重なる)。 |
| 衝動性 | 感情の起伏が激しい、衝動買いやドカ食いをしてしまう、カッとなって怒鳴ってしまう、発言を後悔することが多い。 |
2. セルフチェックリスト:ADHDが疑われるサイン
以下のリストは、正式な診断に代わるものではありませんが、専門機関への相談を検討する目安となります。当てはまる項目が多いほど、ADHDの特性が生活に影響を与えている可能性があります。
【不注意に関するチェックリスト】
- 約束や提出期限を頻繁に忘れる。
- 会話中に気が散って、相手の話を聞き逃してしまうことが多い。
- 書類や持ち物の整理整頓が極度に苦手で、デスク周りが常に散らかっている。
- 簡単なミスや見落としを繰り返すため、仕事で評価が安定しない。
- 物事に取り掛かっても、すぐに飽きて別のことを始めてしまう。
【衝動性・多動性に関するチェックリスト】
- カッとなりやすく、後悔するような言動を取ってしまう。
- 衝動買いが多く、金銭管理に困ることが多い。
- じっと座っているのが苦痛で、会議中や授業中にそわそわしてしまう。
- 順番を待つのが苦手で、つい人の話を遮ってしまう。
- 計画性を持たずに、すぐに転職や引っ越しなど大きな決断をしてしまう。
3. 病院に行くべきサインと適切な相談窓口
チェックリストに多く当てはまったからといって、必ずしもADHDとは限りません。しかし、その特性によって「日常生活や社会生活に支障が出て、継続的に困っている」状態であれば、専門家へ相談する目安となります。
病院に行くべきサイン
- 仕事や学業に支障が出ている(ミスが原因で解雇された、留年したなど)。
- 人間関係のトラブルが絶えない(衝動的な言動で大切な人を傷つけたなど)。
- 特性からくる二次障害(うつ病、不安障害など)を発症している。
- 「自分はダメな人間だ」と自己肯定感が低下し、生きづらさを強く感じている。
適切な相談窓口
正確な診断と適切な治療を受けるためには、専門的な知識を持つ医療機関を受診することが最も重要です。
| 相談窓口 | 役割と特徴 | 探し方 |
| ① 精神科・心療内科 | 診断と薬物療法、精神療法(カウンセリング)を受けられる最も重要な窓口。発達障害の専門外来を設けている病院を探しましょう。 | インターネットで「[地域名] ADHD 大人 診断 クリニック」と検索。 |
| ② 発達障害者支援センター | ADHD当事者や家族向けの日常生活、就労、福祉制度に関する相談、情報提供、支援計画の策定を行う公的機関。 | 地域の自治体ホームページや「発達障害者支援センター」で検索。 |
| ③ 精神保健福祉センター | 精神的な健康に関する相談全般を受け付けており、適切な医療機関の紹介も行ってくれることがあります。 | 各都道府県・政令指定都市に設置されています。 |
受診時の注意点
医療機関によっては初診の予約が数ヶ月先になることがあります。まずは電話で予約状況を確認し、可能であれば「発達障害の診断を希望している」旨を伝えてください。
ご自身の特性を理解し、適切な支援を得ることは、生きづらさを改善する確かな一歩となります。
