ばね指(弾発指)は、指の屈筋腱と腱鞘(けんしょう:トンネルのような組織)の間で炎症が起こり、腱の動きがスムーズでなくなることで生じる疾患です。指を曲げ伸ばしする際に引っかかりや痛みを感じます。
1. ばね指の初期症状と悪化度セルフチェック
ばね指は手の使い過ぎで起こりやすく、特に更年期の女性や糖尿病の方、指を酷使する仕事の方に多く見られます。
初期症状に気づくサイン
- 朝のこわばり:朝起きた時や、指をしばらく使わなかった後に指の関節がこわばる。
- 指の付け根の痛み:指を曲げ伸ばしする際に、指の付け根(手のひら側)に痛みを感じる。
- 軽い引っかかり:指を曲げ伸ばす時に、カクッという軽度の引っかかりを感じる。
悪化度セルフチェック
以下の症状で、あなたのばね指がどの程度悪化しているかを確認しましょう。
| 悪化度 | 症状の特徴 |
| 初期(軽度) | 指の付け根に圧痛があるが、引っかかりやばね現象はない。 |
| 中期(中等度) | 指を曲げ伸ばす時に「カクッ」と引っかかる(ばね現象)。自力で伸ばすことはできる。 |
| 重度 | 指が曲がったまま自力では伸ばせない。反対側の手で補助しないと伸ばせない、または伸ばす時に激しい痛みが伴う。 |
注意
悪化度が「重度」に達している場合は、腱が強く挟まれて炎症がひどくなっているため、自宅でのケアだけでなく、速やかに整形外科を受診してください。
2. 今すぐできる!自宅での治し方3選
軽度から中等度のばね指であれば、炎症を抑え、指の負担を軽減することで症状の改善が期待できます。
治し方①:炎症を鎮める「徹底した安静と冷却」
ばね指は炎症が原因であるため、まずは患部を休ませることが最優先です。
- 安静:指を曲げ伸ばしする作業、特に指先に力を入れる作業(雑巾絞り、重いものを持つなど)を中止する。
- 冷却:痛みが強い場合や熱を持っている場合は、アイシング(氷嚢などで10〜15分冷やす)を行い、炎症を鎮める。
治し方②:指の付け根を緩める「ストレッチ」
指の腱と腱鞘の柔軟性を高め、スムーズな動きを促します。
- 指を反らすストレッチ:痛む指の指先を、もう一方の手でつかみ、ゆっくりと手の甲側へ反らす。
- 手のひらを開く:手のひらを壁やテーブルにつけ、指が広がるようにゆっくりと体重をかけ、手のひら全体を伸ばす。
- ポイント:ストレッチは痛みが出ない範囲で行い、各動作を20秒程度、1日2〜3セット行いましょう。
治し方③:腱鞘の負担を減らす「サポーターやテーピング」
就寝中や日中の作業時に、指の動きを制限することで炎症の悪化を防ぎます。
- サポーター:指専用のサポーターや、手首を固定するサポーターを使うことで、指の付け根への負担を軽減できます。
- 就寝時の固定:寝ている間に無意識に指を曲げ、朝の痛みを悪化させるのを防ぐため、就寝中に指を伸ばした状態で軽く固定する。
3. 医療機関での治療法
自宅でのケアで改善しない場合、症状が重度の場合は、整形外科で以下の治療が受けられます。
- 注射療法:腱鞘内の炎症を抑えるために、ステロイド注射を行う(高い効果が期待できるが、回数制限あり)。
- 手術療法:症状が改善しない、または再発を繰り返す場合に、腱の通り道を広げるために腱鞘を切開する手術が行われます。
まずは自宅でのケアから始め、痛みが続く場合は専門医に相談してください。
