再発率は5年で30%超!脳梗塞を予防する3大危険因子のコントロール術

脳梗塞は、一度発症すると5年以内の再発率が30%を超えるという高いリスクを持つため、発症後の予防対策(二次予防)が極めて重要です。再発を防ぐ鍵は、動脈硬化を進行させる3大危険因子を徹底的にコントロールすることにあります。

1. 3大危険因子(高血圧・糖尿病・不整脈)と脳梗塞のリスク

危険因子 脳梗塞との関連リスク コントロールの重要性
① 高血圧 血管に持続的に高い圧力がかかり、動脈硬化を加速させ、脳血管が破れたり詰まったりするリスクを大幅に高める。 最も大きな原因。特に収縮期血圧(上の血圧)の厳格な管理が必須。
② 糖尿病 高血糖が血管内皮を傷つけ、動脈硬化を進行させる。血液がドロドロになりやすく、血栓ができやすい状態になる。 血管の障害が重篤化する前に、血糖値とHbA1cの厳格な管理が必要。
③ 不整脈(心房細動) 心臓内で血液がよどみ、血栓(血の塊)ができやすくなる。この血栓が脳に飛ぶことで、重篤な心原性脳塞栓症を引き起こす。 **抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)**による血栓予防が最重要。

2. 3大危険因子をコントロールするための対策

薬物療法だけでなく、生活習慣の改善を組み合わせることで、危険因子のコントロール目標達成を目指します。

① 高血圧のコントロール術(目標:130/80mmHg未満が目安)

対策 具体的な実行内容 補足
減塩の徹底 1日6g未満を目標とする。特にラーメンの汁や加工食品を避ける。 食事記録をつけ、隠れた塩分を見つける。カリウムを多く含む野菜・果物を摂る。
運動 1日30分以上のウォーキングなどの有酸素運動を習慣化する。 運動直後の血圧上昇に注意し、無理のない範囲で継続する。
薬物療法 医師の指示通り、血圧降下薬を飲み忘れず、毎日決まった時間に服用する。 自己判断で服薬を中断すると、血圧が急上昇し、再発リスクが跳ね上がる。

② 糖尿病のコントロール術(目標:HbA1c 7.0%未満が目安)

対策 具体的な実行内容 補足
食事療法 GI値の低い食品(玄米、全粒粉パンなど)を選び、早食いを避ける 糖質だけでなく、カロリーオーバーにも注意し、適正体重を維持する。
運動 食後の血糖値が上がりやすい時間帯(食後30分〜1時間後)に運動を行う。 運動でインスリン感受性を改善し、血糖の利用を促す。
薬物療法 経口薬やインスリン注射を正しく使用し、血糖値を常に安定させる 血糖変動の波を小さくすることが、血管の負担軽減に繋がる。

③ 心房細動のコントロール術(最も危険)

対策 具体的な実行内容 補足
抗凝固薬(血栓予防薬) 医師から処方されたDOACs(直接作用型経口抗凝固薬)などを絶対に欠かさず服用する。 心房細動による脳梗塞は重症化しやすい。この薬の継続が予防の生命線となる。
アルコール制限 過度な飲酒は心房細動の発作や重症化を誘発するため、厳しく制限する。 カフェインも過剰摂取は避けるべき。
基礎疾患治療 高血圧や睡眠時無呼吸症候群など、心房細動を悪化させる基礎疾患を治療する。

3. 脳梗塞の再発予防に必要なこと

再発予防は、これら3大危険因子のコントロールに加え、抗血小板薬抗凝固薬といった薬物療法を主治医の指示通り継続し、定期的に画像検査(MRIなど)を行うことが不可欠です。

服薬の中断は、命の危険に直結します。 症状が安定していても、必ず医師の指示に従いましょう。