化膿性関節炎/敗血症性関節炎

化膿性関節炎(敗血症性関節炎)は、関節に細菌が侵入して炎症を起こす重篤な疾患です。早期発見と迅速な治療が予後を大きく左右します。本記事では、原因・症状・診断・治療法・予防法などをわかりやすく解説し、読者の皆様が正しい知識を得られるように構成しています。

化膿性関節炎とは?

化膿性関節炎とは、関節内に細菌などの病原体が侵入し、激しい炎症を引き起こす感染性疾患です。英語では「Septic Arthritis」と呼ばれ、敗血症性関節炎ともいわれます。主に急性発症型で、症状の進行が早く、適切な対応を怠ると関節破壊や全身感染(敗血症)に至る可能性があります。

原因とリスク因子

化膿性関節炎の主な原因は細菌感染ですが、以下のようなリスク因子が存在します。

原因・リスク因子 説明
細菌感染 黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌などが血液や外傷から関節へ侵入
免疫力低下 糖尿病、がん、HIV感染などにより免疫力が低下している場合
関節疾患の既往 リウマチや変形性関節症の患者は感染しやすい
関節内注射・手術 ステロイド注射や関節鏡手術後の感染リスク
外傷 開放骨折や切創などから細菌が侵入

主な症状

化膿性関節炎では、次のような急激で強い症状が現れます。

  • 関節の腫れ・赤み・熱感
  • 激しい関節痛(特に動かすと悪化)
  • 可動域の制限
  • 発熱・悪寒(38℃以上が多い)
  • 倦怠感・全身のだるさ

特に膝関節・股関節・肩関節での発症が多く、高齢者や子供では重篤化しやすいため注意が必要です。

診断方法

化膿性関節炎の診断は迅速さが重要です。以下のような検査を総合的に判断して診断されます。

検査項目 概要
関節穿刺 関節液を採取し、培養・細胞数・糖濃度などを分析
血液検査 白血球数、CRP(C反応性タンパク)、血沈(ESR)など炎症マーカーの上昇
画像検査 X線、超音波、MRIで関節の腫れや骨変形の有無を確認

治療法

治療はできるだけ早く開始することが重症化を防ぐ鍵となります。

1. 抗生物質の投与

関節液の培養結果に基づいて、適切な抗生剤を点滴または経口投与します。黄色ブドウ球菌が原因の場合はバンコマイシンなどが選択されます。

2. 関節の洗浄・ドレナージ

関節内に溜まった膿を排出するため、関節穿刺や関節鏡を用いて洗浄・排膿を行います。

3. 入院管理・リハビリ

全身状態の管理や、再発予防のために入院が必要です。回復期には関節拘縮を防ぐためのリハビリも重要です。

予防と注意点

化膿性関節炎は予防が難しい病気ですが、以下の点に注意することでリスクを軽減できます。

  • 怪我をした際は早急に消毒・治療を行う
  • 免疫低下のある方は感染予防(手洗い・うがい)を徹底
  • 関節注射後は感染兆候がないか経過観察する
  • 関節の痛みや腫れが急に出たらすぐ受診

Q&A:よくある質問

Q1:化膿性関節炎は自然に治りますか?

A:いいえ。自然治癒することは非常に稀です。むしろ、放置すると関節破壊や敗血症を引き起こすため、必ず医療機関での治療が必要です。

Q2:他人にうつりますか?

A:一般的には人から人に直接感染することはありません。ただし、原因菌が体内にある場合、免疫力が低い人には別の感染症の原因になる可能性があります。

Q3:子供や高齢者がかかることはありますか?

A:はい。特に免疫力が低下している高齢者や、まだ免疫が発達していない乳幼児では重症化のリスクが高くなります。

Q4:関節リウマチとの違いは?

A:リウマチは自己免疫性疾患であり、化膿性関節炎は感染性疾患です。急性で高熱や関節の激痛がある場合は、化膿性関節炎を疑いましょう。

まとめ

化膿性関節炎(敗血症性関節炎)は、早期発見と治療が生命と関節機能を守るカギです。少しでも症状に異変を感じた場合は、すぐに整形外科または内科を受診しましょう。知識を持つことで、早めの対処が可能になります。家族や高齢の方がいる場合は、ぜひ本記事をシェアして感染予防にお役立てください。

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