「健康診断で尿に異常があると言われた」「慢性的な腎臓病かも…」そんな不安を抱えていませんか?
IgA腎症は日本人に多い慢性腎疾患のひとつで、放置すると腎不全に進行する可能性もある重大な病気です。
本記事では、IgA腎症の基礎知識から、原因・症状・診断・治療法・予防法まで、専門的な内容をわかりやすく解説します。
IgA腎症とは?
IgA腎症(アイジーエーじんしょう)は、腎臓の糸球体という部分に免疫グロブリンA(IgA)が沈着することで炎症を起こす慢性の腎疾患です。
IgAは本来、体を外敵から守る免疫物質ですが、何らかの異常により腎臓に蓄積し、尿の異常(血尿・たんぱく尿)や腎機能の低下を引き起こします。
IgA腎症の主な原因とメカニズム
IgA腎症の原因は完全には解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。
原因の種類 | 内容 |
---|---|
免疫異常 | IgAが過剰に産生される、または異常な構造を持つことで、腎臓に沈着 |
感染症 | 扁桃炎などの上気道感染が引き金になることが多い |
遺伝的要因 | 家族内発症の報告もあり、遺伝的な素因も関係 |
IgA腎症の症状と経過
初期には自覚症状が乏しいのが特徴で、健康診断の尿検査で偶然見つかることが多いです。
- 無症候性血尿:見た目ではわからないが、顕微鏡で血尿が検出される
- 肉眼的血尿:風邪や喉の痛みの後に赤褐色の尿が出る
- たんぱく尿:腎臓の機能が低下し、尿中にタンパク質が漏れる
- 腎機能の低下:進行すると高血圧や倦怠感、むくみなどの症状が現れる
診断方法と検査内容
IgA腎症の診断には、以下のような検査が行われます。
検査名 | 目的 |
---|---|
尿検査 | 血尿・たんぱく尿の有無を確認 |
血液検査 | 腎機能(クレアチニン、eGFR)やIgA値を確認 |
腎生検 | 腎臓の組織を採取してIgAの沈着を確認(確定診断) |
IgA腎症の治療法
治療の目標は、腎機能の悪化を防ぎ、透析や腎移植への移行を遅らせることです。以下のような治療法が組み合わされます。
- 生活習慣の改善:塩分制限、たんぱく質制限、禁煙、体重管理
- 薬物療法:ACE阻害薬、ARB、ステロイド、魚油製剤など
- 扁摘パルス療法:扁桃腺摘出+ステロイド点滴療法(早期例に有効)
予後と予防について
IgA腎症の経過は個人差があり、数十年をかけてゆっくり進行することもあります。以下のような管理が重要です。
- 定期的な検査(尿・血液)を続ける
- 高血圧のコントロール
- 早期発見・早期治療が鍵
Q&A:IgA腎症に関するよくある質問
Q1. IgA腎症は完治しますか?
A. 現時点で「完治」は難しいとされていますが、早期発見と適切な治療により腎機能を長期に保つことは可能です。
Q2. IgA腎症は人にうつりますか?
A. いいえ。IgA腎症は感染症ではなく、免疫異常に関係した自己免疫性疾患なので人にうつることはありません。
Q3. 生活にどんな影響がありますか?
A. 初期には日常生活に大きな支障はありませんが、塩分制限や定期通院が必要になります。
まとめ
IgA腎症は日本人に多い慢性腎疾患のひとつで、初期には無症状のことも多く、健康診断で偶然発見されることがほとんどです。
放置すれば腎不全に進行する可能性もあるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。
症状がなくても、尿検査に異常が見られた場合は専門の腎臓内科を受診することをおすすめします。