関節リウマチ

関節リウマチとは

関節リウマチという病気を説明するには、まず関節の構造を理解するところからはじめます。

関節は下記の図のような構造になっています。

関節とは、骨と骨のつなぎ目を指します。

それぞれの骨のつなぎ目の部分にはクッションの役割を果たしている軟骨があります。

関節は滑膜(図の青色部)に包まれており、滑膜の中には潤滑油の役割を果たしている関節液が入っています。

関節液は別名、滑液ともいいます。

この、滑膜と滑液のおかげで関節の中の滑りをよくすることで骨と骨がぶつからないようになっています。

滑膜は薄い膜でできており、関節組織を内側からくるんでいます。

滑膜は関節液を生成したり、関節液を通じて軟骨に栄養を与える機能があります。

関節リウマチは、滑膜が炎症を起こしている状態なので、関節リウマチの正体は滑膜炎ということになります。

以上のことから、症状が滑膜に限られている間に適切な治療を受けることができれば、軟骨や骨に対するダメージを防ぐことができます。

関節リウマチの症状が進行すると、滑膜組織から炎症性サイトカイン中性プロテアーゼ活性酸素一酸化窒素といった炎症を悪化させる物質が次々と分泌されてしまいます。

このうち、中性プロアテーゼは軟骨にダメージを与えることがわかっています。

一方で、骨の場合は、骨芽細胞という骨を作る細胞と破骨細胞という骨を破壊する細胞の両方のバランスが取れているので通常であれば、骨が壊れることはありません。

しかし、関節リウマチになると破骨細胞の力が骨芽細胞を上回ってしまうので骨にダメージを与えてしまいます。

この破骨細胞を活性化させる原因が滑膜組織から生成される炎症性サイトカインなのです。

関節リウマチになりやすい人の特徴

日本人の関節リウマチ発症率は1%前後といわれています。

性別でみると、人口1000人に対して女性が5.4人で、男性が1.1人と報告されており、関節リウマチは女性に発症しやすい病気であることがわかります。

また、関節リウマチが発症しやすい年齢は30~60歳が最も多くなっています。

関節リウマチは一般的には、それほど強い遺伝性はありません。

その他にも、出産をきっかけに発症することもあります。

また、怪我や精神的なストレスがきっかけになることもあります。

関節リウマチは症状によって大きく3つに分類されます。

緩徐発症型

関節リウマチで最も多いタイプで全体の7割を占めます。

急性発症型

外傷やストレスなど、何らかの原因によって発症することが多く、関節症状も激しいという特徴があり発症率は全体の1割です。

中間型

このタイプは発症してから数週間で様々な症状が出るという特徴があります。

また、リウマチの経過も人によって様々あり、大きく4つに分類されます。

単周期型

リウマチの症状が急激に発症しますが、治療によって比較的早期に回復する傾向があります。

これは全体の約20%程度です。

多周期寛解型

このタイプは症状が改善したり悪化したりを繰り返しますが、最終的には治療の効果がでてリウマチの症状は収まっていきます。

このタイプは全体の約40%程度です。

多周期増悪型

このタイプは治療効果がほとんどなく、長い経過の間に徐々に症状が悪化します。

約30%程度の割合を占めています。

進行増悪型

現在行っている治療に対して全く反応しなくなり症状がどんどん悪化するタイプです。

全体の約10%程度ですが、今後の治療法の進歩によって比率が下がる可能性が高いと言われています。

これらのタイプは関節リウマチを発症したときに予め決まっているものではなく、治療の良し悪しによって変化します。

悪性関節リウマチは、血管炎や肺線維症を合併するリウマチを指しており、リウマチの経過を意味するものではありません。

若年性リウマチ

16歳以下でリウマチが発症した場合は、若年性リウマチ、または小児リウマチといい、以下の3つに大別されます。

  1. 全身型
  2. 多関節炎型
  3. 乏関節炎型

全身型は、スティル病とも呼ばれており、光熱と発疹、関節痛などの症状を伴います。

若年リウマチの患者は全国で5,000人前後であるといわれています。

成長期に発症するため、発育障害を招き、低身長や下あごの形成不全などの症状を引き起こすことがあります。

最近では、メトトレキサートなどの抗リウマチ薬が積極的に使われるようになったので治療効果が高まっています。

成人スティル病

大人に発症するリウマチですが、前述の小児スティル病と経過がよく似ているために、この名前がついています。

39度以上の熱が1日の間に上がったり下がったりを繰り返します。

発熱しているときは、体に薄いピンク色の発疹が出ますが、熱が下がると発疹は消えてなくなります。

顎部付近のリンパ腺の腫れや肝機能障害などの症状も見られます。

症状が酷くなると、胸膜炎や急性呼吸不全などを引き起こすこともあるので注意が必要です。

関節炎はとくに、手首に多くみられます。

成人スティル病はとても珍しい病気なので診断が遅くなり重症化することも少なくありません。