肝臓病とは

沈黙の臓器・肝臓の敵は不健康な生活習慣とウィルス

私たちの生命維持に大きな役割を果たしている肝臓ですが、非常に我慢強いのも大きな特徴のひとつ。幹細胞の一部が壊れても、他の細胞が壊れた細胞の働きをカバーするため、多少障害を起こしてもまったく症状は現れません。症状が現れたり自覚したいするようになったときには、すでに肝臓の大部分が病魔に侵されている状態なので、緊急入院を要する場合も少なくありません。このように本人が気付かないうちに静かに病状が進行し、本当に危険な状態に陥るまで悲鳴をあげないため、肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれています。

肝臓の健康を脅かす原因は、大きく2つあります。そのひとつは、慢性的な過食やお酒の飲み過ぎなどの生活習慣の乱れ。もうひとつがウィルスの感染です。ウィルス性の肝臓病には、ウィルスの種類によってA型・B型・C型などがあり、突然症状が現れる急性肝炎は、ウィルスが原因で起こってきます。

大事に至る可能性もある肝臓病の進行とその流れ

慢性的な生活習慣の乱れが原因の肝臓病の場合、まず肝臓に脂肪が沈着し、その後、肝細胞が炎症を起こす肝炎が発症します。軽度の段階では、生活習慣を改善すれば自然治癒し、肝機能が改善する可能性が十分あります。ですが、そのまま不健全な生活を続けていくと病状が進行し、肝細胞が萎縮して硬くなる肝硬変、ついには肝臓がんにまで進行してしまいます。

ウィルスに感染した場合、急激に肝細胞が炎症を起こす急性肝炎を起こします。ウィルスの種類によって病状は異なり、A型ウィルスは、初期症状が激しいのが特徴。このA型よりも病状が緩やかなのがB型です。C型の場合、B型以上に緩やかな症状のため、感染に気付かず、10年以上たって初めて慢性肝炎を患っていることを知る人もいます。「精密検査をしてみたら肝臓がんだった」という人も少なくありません。

じつは、日本の肝臓がん患者の70%がC型ウィルスの感染から派生したものなのです。もちろんC型だけでなく、B型も肝炎から肝硬変、肝臓がんへと病状が進行する可能性があります。またA型とB型のウィルスは、極稀にですが、劇的な速度で肝細胞の破壊を繰り返して生命を脅かす、劇症肝炎を起こす場合もあります。

次は「肝臓病の種類と原因」

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