アセチルスピラマイシン

アセチルスピラマイシンは、マクロライド系の抗生物質であり、細菌感染症の治療に用いられます。スピラマイシンをアセチル化したプロドラッグであり、体内で活性型のスピラマイシンに変換されて抗菌作用を発揮します。幅広いグラム陽性菌および一部のグラム陰性菌、嫌気性菌、マイコプラズマ、クラミジアなどに対して抗菌活性を示します。

主成分

  • アセチルスピラマイシン

分類

  • 抗生物質
  • マクロライド系抗生物質

効能・効果

アセチルスピラマイシンは、主に以下の感染症の治療に用いられます。

  • 呼吸器感染症: 肺炎、気管支炎、咽頭炎、扁桃炎など
  • 皮膚・軟部組織感染症: 癤、せつ、丹毒、蜂巣炎など
  • 耳鼻咽喉科感染症: 中耳炎、副鼻腔炎など
  • 歯科・口腔外科感染症: 歯周組織炎、顎骨周辺の感染症など
  • 性感染症: クラミジア感染症など
  • その他の感染症: マイコプラズマ肺炎など

ただし、感受性のある菌種による感染症に限ります。

用法・用量

アセチルスピラマイシンの用法・用量は、患者の年齢、体重、症状、感染症の種類などによって異なります。通常、成人の場合、以下の用量が目安となりますが、必ず医師の指示に従って服用してください。

  • 経口投与: 通常、成人にはアセチルスピラマイシンとして1日600mg(力価)を2~3回に分割して経口投与します。
  • 重症感染症の場合: 症状に応じて増量されることがあります。
  • 小児の場合: 年齢、体重に応じて適宜減量されます。

服用方法に関する注意点

  • 定められた用法・用量を守って服用してください。
  • 飲み忘れた場合は、気づいた時点でできるだけ早く服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は服用せずに、次の時間に1回分だけ服用してください。2回分を一度に服用しないでください。
  • 医師から指示された期間は、自己判断で服用を中止しないでください。症状が改善したように見えても、体内に細菌が残っている可能性があり、再発や薬剤耐性菌の出現につながるおそれがあります。

副作用

アセチルスピラマイシンは比較的安全性の高い抗生物質とされていますが、以下のような副作用が現れることがあります。

主な副作用

  • 消化器症状: 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振など比較的多く見られます。
  • 過敏症: 発疹、蕁麻疹、かゆみなど。このような症状が現れた場合は、直ちに医師または薬剤師に連絡してください。
  • 肝機能異常: まれにAST(GOT)、ALT(GPT)、ALPなどの肝機能検査値の上昇が見られることがあります。定期的な検査が必要となる場合があります。
  • その他: 頭痛、めまい、倦怠感などが報告されています。

重大な副作用(まれに起こることがあります)

  • アナフィラキシーショック: 呼吸困難、顔面蒼白、血圧低下など。直ちに医師の診察を受けてください。
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN): 高熱、皮膚や粘膜の発疹・水疱、目の充血など。直ちに医師の診察を受けてください。
  • 偽膜性大腸炎: 激しい腹痛、頻回な下痢。直ちに医師の診察を受けてください。
  • QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む): 動悸、めまい、失神など。特に基礎疾患に不整脈がある患者や、他のQT延長作用のある薬剤を併用している患者では注意が必要です。
  • 横紋筋融解症: 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇など。直ちに医師の診察を受けてください。

これらの重大な副作用はまれですが、初期症状に気づいたらすぐに医師の診察を受けることが重要です。

その他

  • 相互作用: 他の薬剤との併用に注意が必要な場合があります。特に、以下の薬剤との併用には注意が必要です。
    • エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン:血管収縮作用が増強されるおそれがあります。
    • シクロスポリン、タクロリムス:これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあります。
    • ジソピラミド:QT延長を起こすおそれがあります。
    • テオフィリン:テオフィリンの血中濃度が上昇するおそれがあります。
    • ワルファリン:ワルファリンの抗凝固作用が増強されるおそれがあります。
  • 高齢者: 一般的に生理機能が低下しているため、慎重に投与する必要があります。
  • 妊婦・授乳婦: 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます。授乳中の女性には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討する必要があります。
  • 小児等: 小児に対する安全性は確立されていません。

注意事項

  • この情報はアセチルスピラマイシンの一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 服用中に気になる症状が現れた場合は、自己判断で中止せずに、速やかに医師または薬剤師に相談してください。
  • 他の医療機関を受診する際や、新たに他の薬を服用する際には、必ずアセチルスピラマイシンを服用していることを医師または薬剤師に伝えてください。
  • アレルギー体質の方や、過去にマクロライド系抗生物質でアレルギー症状を起こしたことがある方は、必ず医師または薬剤師に伝えてください。

より詳細な情報については、医師または薬剤師にご相談いただくか、製品の添付文書をご確認ください。