加味逍遙散

加味逍遙散(カミショウヨウサン)について

加味逍遙散は、体力中等度以下で、肩がこり、疲れやすく精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある方の、冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症、神経症などに用いられる漢方薬です。女性特有の様々な不定愁訴に広く用いられる処方として知られています。

主成分(生薬)

加味逍遙散は、以下の10種類の生薬から構成されています。

  1. シャクヤク(芍薬): 鎮痛、鎮痙、収斂、補血作用などがあります。
  2. ビャクジュツ(白朮): 健脾、燥湿、利水作用などがあり、消化機能を高め、水分代謝を改善します。
  3. ブクリョウ(茯苓): 利水、鎮静作用などがあり、水分代謝を改善し、精神安定に働きます。
  4. トウキ(当帰): 補血、活血、鎮痛作用などがあり、血行を促進し、婦人科系の症状を改善します。
  5. サイコ(柴胡): 解熱、鎮痛、肝機能改善作用などがあり、気の巡りを改善し、精神安定に働きます。
  6. ボタンピ(牡丹皮): 駆瘀血、清熱、鎮痛作用などがあり、血の滞りを改善し、炎症を抑えます。
  7. サンシシ(山梔子): 清熱、瀉火、利湿作用などがあり、イライラや不眠を改善します。
  8. カンゾウ(甘草): 鎮痛、抗炎症、緩和作用などがあり、他の生薬の作用を調和します。
  9. ショウキョウ(生姜): 健胃、温中作用などがあり、体を温め、消化機能を高めます。
  10. ハッカ(薄荷)**: 発散、清涼作用などがあり、気分を爽やかにし、精神的なイライラを鎮めます。

分類

  • 漢方製剤
  • 婦人薬(主に)

効能・効果

体力中等度以下で、肩がこり、疲れやすく精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:

  • 冷え症
  • 虚弱体質
  • 月経不順
  • 月経困難
  • 更年期障害
  • 血の道症
  • 不眠症
  • 神経症

「血の道症」とは:月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。

用法・用量

  • 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 製品によっては、1回あたりの服用量や回数が異なる場合がありますので、添付文書をよく確認してください。
  • 顆粒剤や細粒剤の場合は、そのまま水またはお湯で服用します。錠剤の場合は、水またはお湯で服用します。

副作用

主な副作用として、以下のものが報告されています。

  • 消化器: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢など
  • 皮膚: 発疹、かゆみなど
  • その他: 肝機能異常(AST、ALT、ALP、γ-GTPの上昇など)

重大な副作用

まれに、以下の重大な副作用が現れることがあります。

  • 間質性肺炎: 階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする、空咳が出る、発熱などがみられ、これらの症状が急にあらわれたり、持続したりすることがあります。
  • 肝機能障害、黄疸: 全身倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿などがみられることがあります。
  • 腸間膜静脈硬化症: 長期服用により、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などが繰り返しあらわれることがあります。

上記のような症状が現れた場合には、直ちに服用を中止し、医師の診療を受けてください。

その他

  • 加味逍遙散は、体質や症状に合わせて用いられる漢方薬です。自己判断で使用せず、必ず医師または薬剤師に相談してください。
  • 他の医薬品(西洋薬、漢方薬)と併用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。
  • 服用中に体調が悪くなった場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
  • 小児、高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性、体の虚弱な人、胃腸の弱い人、食欲不振、吐き気、嘔吐のある人などは、特に慎重な投与が必要となる場合がありますので、必ず医師または薬剤師に相談してください。
  • 長期間服用する場合には、定期的に医師または薬剤師に相談してください。

注意事項

  • この情報は加味逍遙散の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。