越婢加朮湯

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)について

越婢加朮湯は、漢方薬の一種であり、比較的体力のある人で、関節や筋肉の痛み、腫れ、熱感などを伴う症状に用いられます。特に、関節リウマチや関節炎、ネフローゼなどの疾患に伴う関節痛や浮腫の改善を目的として使用されることがあります。

(越婢加朮湯の顆粒または錠剤のイメージ。複数のメーカーから販売されており、パッケージデザインは異なります。)

主成分

越婢加朮湯は、以下の生薬から構成されています。

  • 麻黄(マオウ): 発汗、利尿、鎮咳、去痰作用があります。関節痛やむくみの改善、呼吸器系の症状緩和に用いられます。
  • 石膏(セッコウ): 清熱瀉火、除煩止渇作用があります。体の熱を取り除き、炎症を鎮める効果があります。関節の腫れや熱感、口渇などに用いられます。
  • 蒼朮(ソウジュツ): 健脾燥湿、祛風散寒作用があります。消化機能を高め、体内の余分な水分を取り除く効果があります。関節痛やむくみ、食欲不振などに用いられます。
  • 甘草(カンゾウ): 緩和、矯味、鎮痛、抗炎症作用があります。様々な生薬の作用を調和させ、痛みを和らげる効果があります。
  • 生姜(ショウキョウ): 発汗解表、温中散寒、止嘔作用があります。体を温め、発汗を促し、吐き気を抑える効果があります。

これらの生薬が、それぞれの薬理作用を発揮し、複合的に効果をもたらします。

分類

  • 漢方薬
  • 中医薬(中国伝統医学)における祛風湿剤(きょふうしつざい)に分類されることがあります。これは、風邪や湿邪といった病因を取り除くことを目的とした処方であることを示唆しています。

効能・効果

比較的体力のあるものの次の諸症:

  • 関節炎
  • 関節リウマチ
  • ネフローゼ
  • 湿疹
  • 蕁麻疹
  • 皮膚掻痒症
  • 多汗症

これらの効能・効果は、越婢加朮湯が持つ、炎症を鎮め、水分代謝を改善し、痛みを和らげる作用に基づいています。関節炎や関節リウマチにおける関節の痛みや腫れ、ネフローゼに伴う浮腫、皮膚の炎症やかゆみ、異常な発汗などに用いられます。

用法・用量

  • 通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 漢方薬は、煎じ薬、顆粒剤、錠剤などの剤形がありますが、医療機関で処方される場合は、通常、顆粒剤や錠剤となっています。服用する際は、指示された用法・用量を守り、水または白湯で服用してください。

副作用

漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。

  • 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、下痢など
  • 皮膚症状: 発疹、かゆみなど
  • その他: 動悸、のぼせ、発汗過多など

越婢加朮湯に含まれる麻黄には、エフェドリンなどの成分が含まれており、交感神経を刺激する作用があるため、以下のような副作用に注意が必要です。

  • 循環器症状: 血圧上昇、動悸
  • 精神神経系症状: 不眠、めまい、不安、興奮

特に、以下のような方は、越婢加朮湯の服用に注意が必要です。

  • 体力の著しく衰えている方
  • 胃腸の弱い方
  • 発汗傾向の著しい方
  • 高血圧症の方
  • 心臓疾患のある方
  • 甲状腺機能亢進症の方
  • 妊娠または授乳中の方
  • 他の医薬品(特に麻黄含有製剤や交感神経刺激薬)を服用している方
  • 高齢者

もし、服用中に異常を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

その他

  • 漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されることが重要です。そのため、自己判断で購入・服用するのではなく、医師の診断に基づいた処方を受けるようにしてください。
  • 越婢加朮湯は、症状の緩和を目的とした対症療法薬であり、病気の根本原因を治療するものではありません。
  • 他の医薬品や健康食品との併用については、必ず医師または薬剤師に相談してください。
  • 小児への投与は、医師の判断に基づいて慎重に行われる必要があります。

注意事項

  • この情報は越婢加朮湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。