半夏白朮天麻湯

半夏白朮天麻湯について

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)は、漢方処方の一つで、比較的体力がなく、胃腸が弱く、めまい、頭痛、吐き気などを伴う方に用いられることが多い漢方薬です。体内の水分代謝を改善し、神経の高ぶりを鎮めることで、これらの症状を緩和すると考えられています。医療用医薬品としてだけでなく、一般用医薬品としても販売されています。

主成分

半夏白朮天麻湯は、以下の生薬を一定の割合で配合して作られています。

  • 半夏(ハンゲ): サトイモ科カラスビシャクのコルク層を除いた塊茎で、鎮吐作用、鎮咳作用、去痰作用があるとされます。
  • 白朮(ビャクジュツ): キク科オケラの根茎で、利水作用、健脾作用、止瀉作用があるとされます。
  • 天麻(テンマ): ラン科オニノヤガラ属の塊茎で、鎮静作用、鎮痙作用、鎮痛作用があるとされます。
  • 茯苓(ブクリョウ): サルノコシカケ科マツホドの菌核で、利水作用、健脾作用、鎮静作用があるとされます。
  • 橘皮(キッピ): ミカン科ウンシュウミカンなどの成熟した果皮で、理気作用、健胃作用があるとされます。
  • 人参(ニンジン): ウコギ科オタネニンジンの根で、補気作用、健脾作用、強壮作用があるとされます。
  • 黄耆(オウギ): マメ科キバナオウギなどの根で、補気固表作用、利水消腫作用があるとされます。
  • 麦芽(バクガ): イネ科オオムギの成熟した果実を発芽させたもので、健胃作用、消化促進作用があるとされます。
  • 乾姜(カンキョウ): ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもので、体を温める作用、健胃作用があるとされます。

これらの生薬が複雑に作用し合うことで、半夏白朮天麻湯としての効果を発揮すると考えられています。製品によっては、上記以外に少量の添加物を含む場合があります。

分類

  • 漢方製剤

効能・効果

比較的体力がなく、胃腸が弱く、めまい、頭痛、吐き気などを伴うものの次の諸症:

  • 慢性頭痛
  • 神経症
  • メニエール病
  • 立ちくらみ

上記は一般的な効能・効果であり、製品によって若干異なる場合があります。必ず添付文書や医師・薬剤師の指示を確認してください。

用法・用量

  • 通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 顆粒剤や細粒剤の場合、そのまま水または白湯で服用します。
  • 錠剤の場合は、水または白湯で服用します。

漢方薬は、患者さんの体質や症状に合わせて処方されるため、自己判断での服用は避けるべきです。医師や漢方専門の薬剤師に相談し、適切な diagnosis と処方を受けることが重要です。

副作用

半夏白朮天麻湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のものが報告されています。

  • 消化器系: 胃部不快感、食欲不振、下痢など
  • 皮膚: 発疹、かゆみなど

重大な副作用は比較的まれですが、以下のような症状が現れた場合は直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に連絡してください。

  • 肝機能障害: 全身倦怠感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、食欲不振など
  • 偽アルドステロン症: 手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、脱力感、筋肉痛など(長期連用した場合に現れることがあります)
  • ミオパチー: 手足のだるさ、脱力感、筋肉痛など(偽アルドステロン症と類似の症状)

これらの副作用は、体質や他の薬剤との相互作用によって起こる可能性があります。服用中にいつもと違う症状が現れた場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

その他

  • 半夏白朮天麻湯は、一般的に食前または食間に服用することで、胃への負担を軽減し、吸収を良くするとされています。
  • 漢方薬は、西洋薬と異なり、効果が現れるまでに時間がかかる場合があります。焦らずに、医師や薬剤師の指示に従って継続して服用することが大切です。
  • 他の医薬品や健康食品との併用については、必ず医師または薬剤師に相談してください。特に、甘草を含む製剤や利尿作用のある薬剤との併用には注意が必要です。
  • 妊娠中、授乳中、または高齢者の方は、服用前に必ず医師または薬剤師に相談してください。
  • 小児への投与は、医師の判断に基づいて慎重に行う必要があります。

注意事項

  • この情報は半夏白朮天麻湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。漢方薬の服用は、個人の体質や症状に合わせて専門家のアドバイスを受けることが最も重要です。