桂枝湯 | おくすり辞典

桂枝湯（けいしとう）は、日本薬局方に収載されている漢方処方の一つです。体力中等度以下で、発汗傾向のあるものの、かぜの初期（汗をかいていないもの）、鼻かぜ、頭痛、肩こりなどに用いられます。身体を温め、血行を促進し、自然治癒力を高める効果があるとされています。

桂枝湯は、一般的には顆粒剤やエキス剤として市販されており、医療機関では医療用医薬品としても処方されます。

桂枝湯は、以下の5つの生薬から構成されています。

桂皮（ケイヒ）: クスノキ科のケイの樹皮を乾燥させたもの。体を温め、発汗を促し、血行を改善する作用があります。桂枝湯の主薬であり、名前の由来にもなっています。
芍薬（シャクヤク）: ボタン科のシャクヤクの根を乾燥させたもの。鎮痛、鎮痙作用があり、筋肉の緊張を和らげ、痛みを鎮める効果があります。
甘草（カンゾウ）: マメ科のカンゾウの根やストロンを乾燥させたもの。炎症を抑え、痛みを和らげる作用があり、他の生薬の作用を調和させる働きもあります。
生姜（ショウキョウ）: ショウガ科のショウガの根茎を乾燥させたもの。体を温め、発汗を促し、吐き気を抑える作用があります。
大棗（タイソウ）: クロウメモドキ科のナツメの果実を乾燥させたもの。滋養強壮作用があり、体力を補い、精神を安定させる効果があります。

これらの生薬が、それぞれの薬理作用を発揮し、複合的に効果をもたらすと考えられています。

体力中等度以下で、発汗傾向のあるものの次の諸症：

比較的体力のない方で、汗をかきやすく、風邪のひき始めで寒気や発熱、頭痛があるような場合に適しています。また、鼻水やくしゃみなどの鼻風邪の症状や、肩こり、軽い頭痛などにも用いられます。

通常、成人1日7.5gを2～3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
年齢、体重、症状により適宜増減されます。
必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
市販の顆粒剤やエキス剤の場合は、製品によって用法・用量が異なる場合がありますので、添付文書をよく読んでから服用してください。一般的には、成人1回1包を1日2～3回、食前または食間に服用することが多いです。

漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。

まれに、以下のような重篤な副作用が報告されています。

偽アルドステロン症: 低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、手足のしびれなどが現れることがあります。これは、甘草に含まれるグリチルリチン酸が原因となることがあります。
ミオパチー: 筋肉の脱力感、痛みなどが現れることがあります。これも偽アルドステロン症に伴って起こることがあります。
肝機能障害: AST（GOT）、ALT（GPT）、Al-P、γ-GTPなどの上昇を伴う肝機能障害が現れることがあります。

これらの副作用が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。特に、高齢者や長期連用する場合には、副作用の発現に注意が必要です。