茯苓飲(ブクリョウイン)について
茯苓飲は、漢方処方の一つであり、体力中等度以下で、胃がもたれたり、食欲不振、みぞおちがつかえる、吐き気などの症状がある方に用いられます。胃腸の機能を整え、水分代謝を改善する効果があるとされています。
主成分
茯苓飲は、以下の生薬から構成されています。
- 茯苓(ブクリョウ): サルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥させたもの。利水作用、健脾作用があるとされます。
- 人参(ニンジン): ウコギ科のオタネニンジンの根を乾燥させたもの。補気作用、健脾作用があるとされます。
- 白朮(ビャクジュツ): キク科のオケラの根茎またはホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。利水作用、健脾作用があるとされます。
- 生姜(ショウキョウ): ショウガ科のショウガの根茎を乾燥させたもの。健胃作用、温中散寒作用があるとされます。
- 橘皮(キッピ): ミカン科のウンシュウミカンの成熟した果皮を乾燥させたもの。理気作用、健脾作用があるとされます。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
体力中等度以下で、胃がもたれたり、食欲不振、みぞおちがつかえる、吐き気、嘔吐などがあり、ときにめまい、ふらつきがあるものの次の諸症:
- 胃炎
- 胃アトニー
- 消化不良
- 慢性胃炎
- 神経性胃炎
- 胃拡張
茯苓飲は、これらの症状に対して、胃の運動機能を改善し、水分代謝を整えることで効果を発揮すると考えられています。特に、胃のチャポチャポする感じや、食後に胃が重苦しく感じる、吐き気があるといった症状に適しています。
用法・用量
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
- 顆粒剤の場合: 1回2.5g(ツムラの場合など、メーカーによって異なることがあります)
- 煎じ薬の場合: 生薬の配合量に応じて煎じ方が異なります。
年齢、体重、症状により適宜増減されます。必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
漢方薬は、患者さんの体質や症状に合わせて処方されるため、自己判断での服用は避けるべきです。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、茯苓飲においても、体質や症状によっては以下のような副作用が現れる可能性があります。
- 消化器系: 胃部不快感、食欲不振、下痢など
- 過敏症: 発疹、かゆみなど
これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
また、茯苓飲に含まれる生薬によっては、まれに以下のような副作用が報告されています。
- 偽アルドステロン症: 長期間の服用により、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、手足のしびれなどが現れることがあります。
- ミオパチー: 長期間の服用により、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。
これらの副作用が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
その他
- 茯苓飲は、比較的体力がなく、胃腸が弱い方に用いられることが多いです。
- 症状の改善が見られない場合や、悪化する場合には、医師または薬剤師に相談してください。
- 他の医薬品や漢方薬と併用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。
- 妊娠中または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性がある方は、服用前に医師に相談してください。
- 小児への投与については、医師または薬剤師の指示に従ってください。
注意事項
- この情報は茯苓飲の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 漢方薬は、その人の体質や症状に合わせて処方されるオーダーメイドの医療です。自己判断での服用は避け、専門家の診断を受けるようにしてください。
- より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。